【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(1)世界的ロボット研究者、石黒浩氏が見るAIの世界 (1/9ページ)

2016.4.24 07:10

アンドロイドの「イシグロイド」。ロボット工学者、石黒浩大阪大学教授(特別教授)の“分身”

アンドロイドの「イシグロイド」。ロボット工学者、石黒浩大阪大学教授(特別教授)の“分身”【拡大】

  • ロボット工学者、石黒浩大阪大学教授(特別教授)

 世界的ロボット研究者が見るAIの世界「人工知能は着実な発展の上に乗っかる一つの技術で、世の中を急に変えるみたいな話ではないと思うんです」

 人工知能(AI)がブームになっているといろいろな方面で聞く。囲碁でコンピュータが世界トップ級のプロ棋士に勝利したり、自動運転車の実用化が近づくとのニュースも相次ぎ、世の中にも「人工知能で何かが変わるのでは」との期待が膨らんでいるように見える。実はこれまでにもブームはあって、今回は第三次人工知能ブームと位置付けられている。だが、人工知能について調べてみても、今すごいことが起きていると具体例を持って確信することはできなかった。ブームで何が起きているのか、そして今の人工知能は何ができるのかを解明するために、各方面の識者を訪ねることにした。(取材・文・撮影 森山雅勝)

 今回は、大阪大学教授(特別教授)でロボット工学者の石黒浩の研究室を訪ねた。マツコロイドの開発者と言えば、分かる人も多いのではないか。石黒は2007年に英国の調査会社が発表した「世界の生きている天才100人」で日本人最高位の26位に選出された日本を代表する科学者である。

 事前調査の印象としてなんとなく怖いイメージを持っていたのだが、自己紹介の際に共通の知り合いがいることが分かり、少し打ち解けた雰囲気になったと感じたのだが…。

「今、人工知能の話をするのは難しいですね」

 やはり怖い。勝手に緊張が走る。

【プロフィル】石黒 浩(いしぐろ・ひろし)

石黒 浩(いしぐろ・ひろし)工学博士、大阪大学教授(特別教授)、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻
ATR石黒浩研究所客員所長(ATRフェロー)
JST ERATO 石黒共生HRIプロジェクト研究総括
著書に「アンドロイドは人間になれるか」(文春新書)、「ロボットとは何か」(講談社現代新書)、「どうすれば「人」を創れるか」(新潮社)などがある

「今の人工知能のブームって完全に言葉が独り歩きしているでしょ」