【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(2)人工知能学会、松原仁会長が見るAIの世界 「じわじわと社会に浸透」 (1/6ページ)

2016.5.1 07:00

工学博士、公立はこだて未来大学教授の松原仁氏

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 連載2回目の今回は、公立はこだて未来大学システム情報科学部教授の松原仁を訪ねた。松原は人工知能学会会長、情報処理学会理事を務める日本の人工知能研究の第一人者である。松原は、コンピュータ(機械)に知能を持たせる、あるいはコンピュータを(反面)教師として人間の知を探究することを目指して人工知能の研究をしている。

【プロフィル】松原仁(まつばら・ひとし)

松原仁(まつばら・ひとし)工学博士、公立はこだて未来大学教授
人工知能学会 会長
著書、監修の書籍に「鉄腕アトムは実現できるか」(河出書房新社)、「わくわくロボット教室」(集英社)などがある

「天の邪鬼だったかもしれないですね。今のように人工知能がもてはやされていると、ちょっと落ち着かないんですよ」

 松原が人工知能の研究を始めたのは、第二次人工知能ブームが起こる少し前だった。つまり、人工知能研究者にとって冬の時代である。

「当時の先生から、『人工知能なんかやったら身を滅ぼすぞ。そんなのやっている奴は人間の屑だ』と言われたんです。はい。本当に『人間の屑』という言葉を使われたんです」

 研究分野の選択で、「人間の屑」と言われるとは、まったく意味が分からない。確認をしたが、確かにそう言われたとのこと。それほど冷遇されていた時代なのか、と無理やり納得した。

「幼稚園の時、鉄腕アトムにはまったんですね。そこで天馬博士に憧れたのです。お茶の水博士ではなく、アトムの生みの親である天馬博士に。それからずっとエンジニアになりたいと思っていて、大学でロボットの研究室に入って、そこで自分がやりたい分野は人工知能だということに気付きました。子供の頃からの夢だったこともあり、何を言われようとも、屑で上等みたいな感じで、自分の道を進みました。だから、第二次人工知能ブームが終わった後の冬の時代も、私的には元に戻っただけという感じでした。もともと冬の時代に始めましたので」

「前回のブームの時は、国が500億円以上の予算をつけたのに…」