【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(3)人工知能と社会情報システム研究の第一人者、石田亨・京大教授が見るAIの世界 (1/5ページ)

2016.5.8 07:00

工学博士、京都大学教授、新疆大学客座教授の石田亨氏

工学博士、京都大学教授、新疆大学客座教授の石田亨氏【拡大】

京都大学教授で社会情報学を研究している石田亨を訪ねた。石田はもともと人工知能、特に自律エージェントとマルチエージェントシステムの研究者で、ロボット工学者の石黒浩も石田の研究室に在籍していたことがある。その後、マルチエージェント技術を社会に応用しようと、コミュニティコンピューティング、デジタルシティ、サービスコンピューティングの研究を始め、現在に至っている。

【プロフィル】石田亨(いしだ・とおる)

石田亨(いしだ・とおる)工学博士、京都大学教授、新疆大学客座教授
Hong Kong Baptist University Distinguished Professor of Science
情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE各フェロー
著書に「フィールド情報学入門」(共立出版)、「プロダクションシステムの発展」(朝倉書店)などがある

「人工知能は研究分野なので、人工知能がこのサービスに入っていますとか、あまり言ってほしくないんですよね」

 うなづきながらこの話を聞いたものの、この時点においては、研究分野というものの位置付けがよく分かっていなかった。

「人工知能の研究で中心的にやっていることは、知能の計算モデル化、アルゴリズムに落としていくことなんですね。それが人工知能と言われている分野の核の部分。そのモデルにはいろいろあって、知能が全部解明されている訳ではないので、いろんな側面で切ってみて、それをモデル化する訳です。例えばよく『コンピュータは論理的なことはできるけど、感情的なことは難しいしょう?』とか言われるけど、そんなことはなくて、コンピュータは論理的なこともできないんです。人間がやっているような論理的思考のほんの一部の側面だけが計算モデル化されているだけで、逆に、感情だって、感情を表す計算モデルを作ればある程度は模擬できるんです。そうやっていろいろなモデルを作っているんです」

そういえば、ソフトバンクのPepperには感情認識エンジンが搭載されていると聞いたことがある。早速調べてみると、「Pepperは、人の感情を理解するだけでなく、自らが感情を持ったロボットとして生まれました。人間同様、相手の気持ちや人とのふれあい、周囲や自らの状況に応じて複雑に感情が揺れ動き、それに応じた行動を行なうPepperとの生活をお楽しみください」と、ソフトバンクのサイトに記載があった。

「ニューラルネットワークモデルの研究の背景にはコネクショニズムという考え方があって…」