【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(5)情報幾何学の創始者、甘利俊一氏が見るAIの世界 (2/6ページ)

2016.5.29 07:00

工学博士理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム特別顧問・チームリーダー東京大学名誉教授の甘利俊一氏

工学博士理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム特別顧問・チームリーダー東京大学名誉教授の甘利俊一氏【拡大】

「人工知能は、もともとのAIというか、記号処理、論理的推論をベースに研究をする派とニューラルネットワークをベースに研究する派があるんです。そして、その二つの派が競うような感じで発展を遂げてきているのです」

 意図があったのかは確認のしようもないが、高校の同級生二人が、それぞれ人工知能の大きな二つの流れの主要人物としているとは、とても興味深い。それと、甘利がミンスキーやローゼンブラットの名前を話す時にとても親しげな感じであるのが印象深かった。当然親交があったのであろう。

「人工知能は、人間にチェスで勝って、ジョパディ!というアメリカのテレビ番組でクイズで勝って、そして今回、囲碁でも勝ったのです。チェスはIBMのディープブルーが探索技術を使って、クイズはIBMのワトソンが機械学習を使って、ベイズ理論も使ったりしたみたいだけど、そして囲碁はグーグルが深層学習と強化学習を組み合わせて勝ちました。部分的にですが、着実に人間を上回る能力を伸ばし続けているのです」

 1997年にチェスで勝利、クイズで勝ったのが2011年である。そして、2016年に囲碁で勝利した。この速度は多くの研究者の予想を大きく上回るものらしい。

「グーグルのアルファ碁の活躍もあって、今注目を集めている深層学習、ディープラーニングは、ニューラルネットワークを多層化したもので、昔はコンピュータパワーやデータの不足で出来ませんでしたが、今は環境が整ったので何十層にもして計算させるのです。より高度な学習、概念的なものを獲得できるのではないかと、みんな、力ずくで研究をしている状況です。ですが、ディープラーニングがどうやってその答えを導き出しているのかは分かっていないのです。まだ世界中の誰も出来ていない。だから、それを理論的に解明できたらすごいことだし、頑張って日本で成果を出してほしい分野なのです。人工知能研究において、日本は周回とか2、3周遅れていると言われていますし、実際そうかもしれませんが、ここで存在感を示せれば、日本の人工知能研究におけるポジションが復活できると思います。日本は、物量ではアメリカとか中国に勝てる訳がないのですから、こういった知的分野の基礎で存在感を示さなくてはなりません」

 世界レベルで活躍してきて、世界的に有名な甘利の言葉には重みがある。

「第二次ニューラルネットワークブームの時には、アメリカの研究者たちが…」