【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(5)情報幾何学の創始者、甘利俊一氏が見るAIの世界 (6/6ページ)

2016.5.29 07:00

工学博士理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム特別顧問・チームリーダー東京大学名誉教授の甘利俊一氏

工学博士理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム特別顧問・チームリーダー東京大学名誉教授の甘利俊一氏【拡大】

 最後に、今年立ち上がる理科学研究所の人工知能研究所についての期待や企業への期待を聞いた。

「理化学研究所のAIPセンターには、人工知能を広くカバーするのではなく、集中してやるべきことを決めて研究してほしい。その時に、これまでやっていたことの延長線上で決めるのではなく、世界の技術動向を踏まえたうえで、日本に優位があり、日本が成果をだせる分野でやっていってほしいです。また、日本の企業も、もっと人工知能研究を進めるべきだと思います。できることなら日本でやって欲しい。例えば、トヨタ自動車もアメリカに人工知能の研究所を作るのは良いですが、日本でも同様の施設を作って欲しい。今回の理研のセンターと協力したり、競ったりして、日本の人工知能研究の発展を後押ししてほしいです」

 インタビューが終わり、雑談をしていると、「これ最近書いたんですよ」と1冊の本を見せてくれた。Information Geometry and Its Applicationsという400ページ近い本で、発行日を見ると2016年の2月である。出版社はSpringerなので研究者向けの本である。研究者は、すごいな、そう思った。そして不思議だ。

(敬称略、取材・文・撮影 森山雅勝)

【プロフィル】甘利俊一(あまり・しゅんいち)

甘利俊一(あまり・しゅんいち)工学博士
理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム 特別顧問・チームリーダー
東京大学名誉教授
文化功労者
著書に「情報理論」(筑摩書房)、「神経回路網モデルとコネクショニズム」(東京大学出版会)、「脳・ 心・人工知能 数理で脳を解き明かす」(講談社ブルーバックス)などがある