【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(7)ディープラーニングの伝道師、松尾豊氏が見るAIの世界 (1/7ページ)

2016.6.19 07:00

工学博士、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授、松尾豊氏

工学博士、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授、松尾豊氏【拡大】

東京大学准教授で人工知能学会や産業技術総合研究所の人工知能研究センターなどで要職に就く松尾豊を訪ねた。人工知能に興味があれば、ほとんどの人が松尾の名前を知っているのではないだろうか。今もっともメディアに登場している人工知能研究者である。ディープラーニングの出現により、人工知能の進化が加速し、新しい産業革命が起きる可能性があると説く。

「日本の勝ちパターンって、お祭り騒ぎにするしかない」

 インタビューを通して、松尾の面白い言い回しとその背後にある独特の考え方に強い興味を引かれた。

松尾の著書やメディアでの発言を見聞きするに、なんとなく一般的な研究者像と違う印象を持っていたので、まずは、研究現場の様子を聞いてみた。

「アメリカの研究者は世の中をよく見ている。企業と大学を研究者が行ったり来たりしている。アメリカの大学のほとんどの先生はベンチャー企業をやっているんじゃないか?くらいの感じなのです。こういったアメリカの仕組みは素晴らしいと思います。もちろん行き過ぎているところもあって、ディープラーニングに注目が集まると、みんな起業したり、企業に行ったりしてしまって、大学の中にディープラーニングを教えられる人がいないみたいな状況になっていたりもします。でも、それでも良いとは思うし、日本もそういう方向に行くべきだと思います」

 人工知能ブームが起きているが、大学や企業ではどのような動きがあるのか?

「人工知能ブームにはなっているけど、日本の研究者はまだそんなに熱くなってはいません。企業のほうは若干熱くなってきている。ほとんどの大企業はディープラーニングも含めて人工知能の研究をしています。だけど、研究者が十分に集まっているかというとそうでもない。そもそも産学連携とか驚くほど出来ていないのが実情なのです」

【プロフィル】松尾豊(まつお・ゆたか)

松尾豊(まつお・ゆたか)工学博士
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 特任准教授
産業技術総合研究所人工知能研究センター 企画チーム長
人工知能学会倫理委員会 委員長
著書、編著書に「人工知能とは」(近代科学社)、「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」(KADOKAWA/中経出版)などがある

松尾の研究室はどのような動きをしているのか?