【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(8)会話情報学の第一人者、西田豊明氏が見るAIの世界 (5/5ページ)

2016.7.10 07:00

工学博士、京都大学教授の西田豊明氏

工学博士、京都大学教授の西田豊明氏【拡大】

「現在の人工知能は、コミュニケーション知能という点ではまだまだ能力が低いので、人間と人工知能の間での心が通ったコミュニケーションを実現したいと思って研究しています。少し先を研究しているつもりだったのですが、技術の進歩は速く、最近、ホロレンズなどのすごく先進的なCMを流れてくるのをみると、彼らも強力な技術力を背景に同じレベルを目指しているのではないかと思えてしまい、焦りを感じます」

 ホロレンズとはマイクロソフトから3月に発売されたヘッドマウントディスプレイであり、マイクロソフトのサイトではmixed realityを実現するものだと謳っている。3Dのホログラフィックコンテンツを現実世界に表示するもので、拡張現実、AR(Augmented Reality)を実現するデバイスである。現在、残念ながら価格は3,000ドルと高価で、アメリカとカナダで開発者向けに販売されているのみである。

 最後に日本における人工知能研究の課題について聞いてみた。

「アメリカの人工知能研究や開発は、ビジネスにフォーカスして成果を出しています。同じ分野で戦うよりも、日本独自のものを打ち出した方が良いと思います。例えば、エンターテインメントです。社会を支えるといったセンスではなく、社会をどれだけ楽しくできるか極めます、といった指針のもとでの研究が有望ではないかと思います」

(敬称略、取材・文・撮影 森山雅勝)

【プロフィル】西田豊明(にしだ・とよあき)

西田豊明(にしだ・とよあき)工学博士
京都大学教授
京都大学大学院情報学研究科 知能情報学専攻
JST-CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」総括
日本学術会議連携会員
著書、共著書に「人工知能とは」(近代科学社)、「知の科学 社会知デザイン」(オーム社)などがある