【人工知能はいま 専門家に学ぶ】(12)革新知能統合研究センター長、杉山将氏 (1/7ページ)

2017.2.20 12:00

革新知能統合研究センターの杉山将センター長

革新知能統合研究センターの杉山将センター長【拡大】

 理化学研究所に2016年4月に設置された革新知能統合研究センター(AIP)のセンター長である杉山将を訪ねた。国が所轄する研究拠点のトップとしては、異例の若手抜擢人事である。機械学習分野最大の国際会議であるNeural Information Processing Systems(NIPS)において、アジア人初のプログラム委員長・実行委員長を務める等、国際的にも活躍している。

「この世界を変えるくらいの成果は出せるんじゃないかと思っています」

 杉山の肩書の多さからも、多忙さは想像できるが、そんなに兼務して、それぞれの仕事できちんと成果を出せるのだろうか?という疑問を口にすると、「出せますね」と即答された。その後の、少し毒のある質問にも終始気さくに回答をもらい、杉山のAIPの成功というか成果を出すことに対する自信を感じた。

 まずは、AIPの方向性についての杉山の考えを尋ねた。

「グーグルやフェイスブックといった人工知能研究に注力をしている欧米の巨大企業と比べると、AIPで言えば、予算規模は二桁違います。そうなってくると、正攻法でやっては勝ち目がありません。だからこそ、研究テーマ選びは慎重にやっています。一つは、基礎研究です。基礎研究に関しては、成果に対して個人プレイの占める割合が大きいですので、ある程度フェアな戦いができると思っています。もちろん、グーグルだとかには良い人が沢山いますが、日本にも優秀な人はいるので、そういう人たちを集めて研究すれば、まだ勝ち目はあるのではないかと思っているのです。もう一つは、応用研究ですが、グーグルだとかが既にやっている分野、画像関連、音声関連、検索関連等は、人海戦術というかお金が多いほうが勝つのではないかと思っていますので、そういうところではなく、日本がもともと強いところを伸ばす研究や日本国内でやる必要がある重要なテーマに絞ろうと思っています。ちなみに、ここで言う、お金とは、人とデータとコンピューターという意味ですね。それらが、エコシステムとしてちゃんと回るものを持っているところは進化が止まらないですよね。今から、そのシステムを作ろうというのでは、とても勝負にならないので、そういうところには、AIP主導では手を出さないことにしようと思っています」

【プロフィル】杉山将(すぎやま・まさし)

杉山将(すぎやま・まさし)博士(工学)
理化学研究所 革新知能統合研究センターセンター長
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授
東京大学 大学院情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻(兼担)
東京大学 理学部 情報科学科(兼担)
産業技術総合研究所 人工知能研究センター 客員研究員
著書に「イラストで学ぶ機械学習 最小二乗法による識別モデル学習を中心に」(講談社)、「機械学習のための確率と統計(機械学習プロフェッショナルシリーズ)」(講談社)などがある

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