「サムスン独走」韓国勢が“有機EL”で天狗状態?! 日台包囲網の勝算は…

 
LG電子が発表した有機ELテレビの新製品=今年4月、東京都中央区

 次世代パネルの「有機EL」をめぐって韓国メーカーの鼻息が荒い。「LG電子、有機ELテレビ大衆化の準備完了」「スマホ用ディスプレー 有機EL移行なら『サムスン独走』」。猛々しい見出しが韓国メディアに躍る。パナソニックは欧州で展開する有機ELテレビを世界販売する方針を明らかにしたが、肝心のパネルはLG電子からの調達だ。一方、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入るシャープは米アップルがiPhone(アイフォーン)に有機ELを採用することを見込み、2千億円を投じて量産体制を築く計画。“天狗(てんぐ)”になっている韓国に一矢報えるか。

 販売台数3倍は楽々達成?

 韓国紙、中央日報(電子版)によれば、LG電子は6月はじめ、慶尚北道亀尾にある有機ELテレビの工場をメディアに初めて公開した。同時に、2016年の有機ELテレビの販売台数を15年比3倍に増やす計画を明らかにした。

 有機ELは、電圧をかけると自ら発光する材料を回路基板に付着させ、画像を映し出す。バックライトが不要で、闇を漆黒で再現できるほか、薄型化が可能となる。LGは世界に先駆け13年に高精細の大型有機ELテレビを発売、今年は全世界で90万台強の販売を目指すことになる。

 中央日報は、LGが有機ELテレビに集中投資するのは、世界のテレビ市場が縮小するなかで有機ELテレビの売り上げだけが成長を続けているためだと指摘する。米調査会社IHSによると、有機ELテレビ市場は13年から20年まで毎年2倍以上、年平均116%拡大するとしている。

 そのLGは有機ELテレビの大衆化の準備は完了したとし、「テレビ市場のパラダイムは有機ELに急速に変わっている。目標の販売台数は無難に達成する」と自信をのぞかせている。

 スマホはサムスンが独走の予感

 一方、聯合ニュース(電子版)は、スマートフォン(スマホ)用ディスプレーの主流が遠からず液晶から有機ELに移行する見通しであると指摘し、その場合、当面はサムスンディスプレーの独走が続くとみられると報じた。

 その根拠となっているのが米IHSによる予測だ。スマホ用有機ELディスプレーの売上高が昨年の106億ドル(約1兆1600億円)から19年には195億ドルに拡大するというのである。スマホ用ディスプレー全体に占めるELの割合は昨年37%だったが、19年には51%に上がる。

 一方、同時期に液晶ディスプレーの売上高は208億ドルから190億ドルに減少し、割合も63%から49%に低下する見通しという。

 聯合ニュースによれば、業界は、スマホ用ディスプレー市場が有機EL中心となる場合、サムスンディスプレーの独走態勢がしばらく続くと観測する。同社はスマホ用小型有機ELで99%のシェアを占める。第6世代のフレキシブル有機ELを生産する韓国工場のラインの生産能力は月1万5千枚だが、来年末には10万5千枚に増強する計画という。

 日台で韓国勢封じ込め?

 世界市場で有望な有機ELテレビをめぐって、意気軒高な韓国勢に対して日本メーカーもただ指をくわえて見ているだけではない。

 パナソニックは今月2日、欧州で展開する次世代パネルの「有機EL」を採用したテレビを、日本を含む世界各地域で販売する方針を明らかにした。開発中の新モデルを世界戦略商品と位置付け、欧州のほかに日本、アジア、オセアニア、中南米などで売り出す計画だという。

 家電事業を担当する本間哲朗専務が産経新聞などの取材に対し、「有機ELテレビを世界中に届けたい」と述べた。早ければ平成29年初めから新モデルを販売する方向という。

 有機ELパネルは韓国LG電子から調達するが、「独自の画像処理技術を用いて差別化を図る」(本間専務)としている。パナソニックは姫路工場(兵庫県姫路市)で生産するテレビ用液晶パネルからの撤退するが、有機ELテレビ市場の拡大を見越した動きなのかもしれない。

 一方、鴻海の傘下に入る経営再建中のシャープは、米アップルが18年にもiPhoneに有機ELを採用することを見越し、鴻海から今後振り込まれる3888億円の資金のうち、2千億円を投じて有機ELの開発や生産ラインの構築に投入する。

 シャープは、低消費電力で高精細を実現する独自液晶「IGZO(イグゾー)」が強みで、鴻海の郭台銘会長も「有機ELよりIGZOの方が生産費用面で優れている」と強調する。さらに、IGZOで使用する半導体技術は有機ELにも応用が可能という。

 鴻海、シャープという日本、台湾による包囲網が、このごろ“天狗”になっている韓国を封じ込めることができるか。成り行きに目が離せない。