電機大手で相次ぐ減損、業績横やり ソニーは1121億円損失、DVD市場で誤算

 
決算の概要について説明するソニーの吉田憲一郎副社長=2日午後、東京都港区

最終益予想340億円減

 電機大手に保有資産の減損処理を実施する動きが相次いでいる。ソニーは2017年3月期に映画事業で1121億円の減損損失を計上し、連結最終利益を従来予想に比べて340億円少ない260億円(前期比82.4%減)に下方修正すると発表。日立製作所も米国の原発事業で700億円の減損を計上する。会計上の処理であるため、現金流出は伴わないが、損失額が膨らむケースが目立っており、各社の業績改善に横やりを入れられる格好だ。

財務の規律見直し

 「経営として大変重く受け止めている」

 ソニーの吉田憲一郎副社長は2日の決算会見で減損についてこう述べた。

 ソニーの映画事業は収益性の改善が課題だ。有望なコンテンツの売却などで低迷するエレクトロニクス事業を支えてきたことで収益力が弱体化しており、動画配信などIP(知的財産)事業の強化などでてこ入れする方針。減損で財務の規律を見直すのも事業立て直しの一環だ。

 損失は主に、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが持つ過去に製作した映像作品の営業権の価値をゼロに引き下げることで発生する。動画配信の普及で映画のDVD市場が今後、従来想定より2割以上落ち込む見通しとなったためだ。

 17年3月期の売上高は、為替レートの前提を円安方向に見直し、7兆6000億円(同6.2%減)と従来予想から2000億円上方修正。映画事業での損失は営業損失として計上するため、営業利益は2400億円(同18.4%減)と300億円の下方修正になった。

 映画分野の低迷は、過去に業績が不振だった時期、人気映画「スパイダーマン」関連の商品の権利を手放すなど「短期業績のために長期的な利益を犠牲にした」(吉田氏)ことが一因になったという。今後は平井一夫社長が米国での映画事業にも携わり、関連する知的財産を活用したり、中国など米国以外で市場を広げたりして立て直す考えだ。

 減益は、昨年4月の熊本地震で半導体工場が被災したことも響いたが、影響の度合いは縮小しているという。

市場急変で陳腐化

 一方、日立は米合弁会社で原発の燃料に使うウランを濃縮する新技術を開発していたが、想定より原子力の需要が伸びないと判断。開発からの撤退に伴い、事業価値が目減りする分の損失を出す。

 減損処理は保有する資産の価値が想定を大きく下回った場合に計上する。ソニーや日立の場合、市場の急速な変化に追いつけずに資産が陳腐化したことが損失の原因になった。「市場環境に対する見通しの甘さは否めない」(アナリスト)との指摘もある。

 東芝のように、海外の買収先で想定外のリスクに直面して損失を迫られる事例も増えており、海外事業のガバナンスも大きな課題になっている。