東芝、隠れ損失最大1兆円 米国産LNGの価格競争力低下、販売先探し難航

 
決算発表の延期などを記者会見で説明する東芝の綱川智社長。経営再建への明確な道筋は示されなかった=14日(AP)

 経営再建中の東芝が、シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)事業で最大約1兆円の損失リスクを抱えていることが17日、分かった。同社は2019年から20年間にわたって米国産LNGを買い取る契約を結んでいるが、市況変動による価格競争力の低下で販売先探しが難航している。売り先が見つからなければ、19年3月期決算にも特別損失の計上を迫られる見通し。米原発子会社関連の巨額損失問題を乗り切れたとしても、なお財務に大きな火種が残る形だ。

 東芝は13年にテキサス州フリーポートの液化基地で生産する年間220万トンのLNGを20年間引き取る購入契約を米企業と結んだ。

 東日本大震災後、国内では再稼働が進まない原発に代わって火力発電への依存が高まり、エネルギー各社にとってLNGを安く調達することが共通の課題となった。そこで、東芝は米国産LNGと火力発電設備のセット販売で事業を軌道に乗せる独自の戦略を描いた。

 しかし、このもくろみは大きく外れた。購入契約を結んだ当時、米国産LNG価格は、原油価格に連動する東南アジアやオーストラリア産の通常LNGの半値以下だった。だが、その後の油価の下落傾向に伴い形勢は逆転しつつある。通常のLNG価格が下がったことで、物流コストを含めると、足元では東芝が仕入れる米国産LNGの価格競争力は損なわれてしまい、売り先探しが進まない状況に陥っている。

 東芝は、東京電力ホールディングス子会社と中部電力の共同出資会社「JERA」から販売支援を得ている。ただ、JERAは年間のLNG調達量が4000万トン規模に達するが、東芝への協力については、「契約内容は米国産LNGの潜在的な買い手を紹介するのみ。当社が販売を担うことはない」と距離を置き、自社によるLNGの引き受けは否定する。

 東芝によると、現時点で220万トンの約半分については販売先が見つかったという。ただ、法的拘束力のない契約があるのに加え、経営の混迷で市場の信頼も失墜する中、「最大1兆円の損失リスクの可能性はゼロではない」(関係者)という。

 東芝の契約先の液化設備の運転開始は19年9月の予定で、市況次第では、同年から損失処理に直面する恐れがある。