金融機関向け「YKS会社情報」を販売開始

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 工藤一郎国際特許事務所(東京都千代田区)は、「YKS会社情報」の提供を開始した。上場企業の競争力について特許情報を基に分析し、1社1シート(A4判)に整理した情報サービスだ。主として証券・銀行や機関投資家、投資ファンドなどの投融資判断資料としての需要を見込み、同事務所と日経テレコンで販売している。

 主な分析項目は、(1)基本情報=対象企業の特許権数、発明者数、YK値など13種類の計数情報、(2)友好・敵対関係分析=対象企業が優位性を持つ技術分野で高YK値を持つ上位5社を選び、対象企業との関係性を5段階で表示、(3)YK値と東証業種分類内順位=対象企業の過去2年間のYK値と順位の推移をグラフで示す-など。

 YK値とは、特許の出願中や権利保有期間中に競合他社から受ける権利化阻止や権利取り消し行動とそのコストを当該特許の価値として指標化したものだ。

 YK値が高い特許が多くあれば、将来、保有企業の事業や収益に貢献する可能性が高く、株価の先行指標となることが証明されており、企業の技術競争力を表す指標となっている。

 同事務所の工藤一郎所長は、「財務情報が過去の情報であると同様、技術も事業に使われた時点で古くなる。投融資機関が企業の将来を予測し、確度の高い資金提供をしていくには、特許情報分析は欠かせない」と言う。

 例えば経営が危ぶまれ株価が低迷したシャープは、台湾・鴻海精密工業が買収提案をしたとき、すでに特許価値は上昇を始めていたことがYK値から分かる。

 今回使用した特許情報は1996~2016年の20年間に特許庁が公開した国内特許関連情報で、今後半年ごとに最新情報を取り込んで再分析し、内容を更新していく。対象企業は同事務所が独自に選んだ技術系300社で随時追加する。また、上場企業の多くが国際展開をしていることから、すでに米国と中国の特許情報を使った分析も完了し、この情報の販売も検討している。

 同事務所の工藤氏は昨年5月、「YKS特許評価」を設立し、社長に就任。今後、分析・情報事業は同社へ徐々に移していき、「日本で数少ない特許評価機関あるいは特許情報ベンダーへ育てていく」(工藤氏)考えだ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)