スタバからみる企業理念 良いニュース生む「社会や顧客に対する約束」を

Bizクリニック

 □広報ブレーン代表取締役・管野吉信

 広報活動を始めようとしても、何から着手すればいいかが分からない企業は多い。そんなときは企業理念の再構築からスタートしよう。社会や顧客にどんな会社で、どのように貢献していくかを明確にすることにより、ニュースを生み出す方向性も定まっていく。

 企業理念は、企業のブランド力を形成するブランディングの基礎となる。一般的な手法は「スローガン・ビジョン」「基本理念/企業理念=ミッション」「共有する価値観/行動規範」の3つに分けて構築する。スローガン・ビジョン、基本理念/企業理念=ミッションによって「社会や顧客に対する約束」を掲げ、それを実現するために社員がどのように行動するかを、共有する価値観/行動規範に落とし込む。

 例えば、スターバックスコーヒージャパンは「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」をミッションに掲げている。これを実現するための行動指針は「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります」「勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。スターバックスと私たちの成長のために」「誠実に向き合い、威厳と尊敬をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします」「一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます」と定めている。社会や顧客に対するメッセージと行動指針が明確であり、それを公言することによって事業の推進力を生み出している。

 わが国の企業に多く見受けられる企業理念は、「~のために」で終わってしまい、「~する」が抜けてしまっているケース。その結果、共有する価値観/行動規範に落とし込めていない。逆に、「~のために」が欠落し、「~する」だけの企業理念もある。この場合は事業目的があやふやになる。また、共有する価値観/行動規範を企業理念として掲げている企業も意外と多い。これは「社会や顧客に対する約束」がないため、心に響かない。

 多くの企業は創業時に「社会を変える」「困った人を助ける」といった夢や理想を持ってスタートしたはずだ。それが、いつの間にかそろばん勘定が優先となり、夢や理想が伝わらなくなっていないだろうか。企業理念の再構築は、企業存続の意義をあらためて社会に示す作業にもなる。

 企業理念を再構築する過程ではとくに次代を担う中堅幹部から課題や改善などの率直な意見を聴取してほしい。自分たちの船の方向を経営任せにしないことで、働きがいや自覚と責任の向上につながる。経営陣が“船”の傷みや補修ポイントに気づくこともできる。中堅幹部が、再構築した経営理念を社内外に浸透させる推進力になる。

【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。

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