中小、タイの経済回廊に期待 ハイテク集積地EEC、東南ア進出の足がかりに

 
タイ最大のレムチャバン港。大型タンカーが停泊する脇で拡張工事が続く=13日、タイ・チョンブリ県(高木克聡撮影)

 タイ政府がハイテク産業の集積地として整備を進める東部経済回廊(EEC)に、日本企業の期待が高まっている。地理的に東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心に位置するEECを核に、急成長する東南アジアとの結びつきが強まるからだ。ただ、日本企業からはハイテク産業に限定する政策に不満もあり、越境手続きの簡素化など実効性のある規制緩和を求める声も出ている。

 首都バンコクから南東に約60キロ、タイ中部のチョンブリ県にあるレムチャバン港では、大型タンカーが行き来する港の片隅でクレーンが静かに海底の泥を引き上げていた。タイ政府が進めるEECの再開発事業に向けた環境調査が進む。

 タイ政府はチョンブリ、チャチュンサオ、ラヨーンの3県をEEC地域に指定。今後5年間で1兆5000億バーツ(約4兆9500億円)を投じ、港の拡張工事やバンコクにつながる高速道路の整備などインフラ整備が急ピッチで進む。

 タイは、周辺国が急成長したあおりを受け、旺盛だった海外からの投資が停滞。2016年の外国資本の直接投資は前年比マイナス27.5%の水準にとどまった。このため、EECにハイテク産業の投資を呼び込み、ASEAN経済の中心地に育てたい考えで、最大の投資国である日本に秋波を送る。特に投資が一服した大手企業に代わり、技術力を持つ中小企業への期待感が強い。

 プラユット首相は11日、日本の政府関係者や中小企業トップなど約600人を招いたフォーラムで、「私たちを信頼してほしい」と繰り返し、EECへの積極的な投資を呼びかけた。

 巨費を投じる事業環境整備に加え、17年中に投資計画を申請すれば法人所得税を5年間にわたり半減させる投資特典も設けた。

 既に多くの日本企業が進出するタイがASEAN市場の窓口になれば、資本力の小さい中小企業にとっても東南アジアの成長力の恩恵にあずかることができる。LED掲示板を製造する日本セック(富山県射水市)現地法人の坂井雄二所長は「営業を広げるチャンスだ」と期待を寄せる。

 ただ、フォーラムに参加した中小企業からは「特典を受けるための技術的な条件が厳し過ぎる」など、自社の実情とタイ政府の思惑との“ミスマッチ”を指摘する声も相次いだ。

 トラックのハンドル位置の違いから越境できず、コンテナの積み替えが必要になったり、無線の輸出に煩雑な申請が求められたりといった国境規制の廃止など、日本企業は投資拡大に実務的な規制緩和を求めている。(高木克聡)

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 ■EECへの投資で受けられる恩恵

 ▽法人所得税が免除される通常の投資恩典に加え、法人所得税を5年間50%減税

 ▽高度な技術を持つ専門家の個人所得税を17%に軽減

 ▽EECに投資した企業の行政手続きを簡素化

 ▽2017年10月までに特別立法を制定し、恩典を保証する

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