障害者アスリートに輝かしい「夜明け」を 日立ソリューションズの変革

 
競技会場で指導する荒井秀樹監督=2016年1月、北海道旭川市(日立ソリューションズ提供)

 【企業とスポーツ】日立ソリューションズ(下)

 ■「情熱は磁石」未来の夜明け

 そろいのコスチュームに身を包み、選手に大声援を送る集団は、いつしか障害者クロスカントリースキー会場の名物になった。日立ソリューションズ「チームAURORA(アウローラ)」後援会の会員たちである。

 海外大会にも応援

 発足した2005年当初は競技場に数人が応援に来るほどであったが、いまや100人以上が競技会場に乗り込む。国内ばかりか、パラリンピックをはじめとする海外の大会まで。

 「本当に大きな力をもらえるんです」。クロスカントリースキーの金メダリスト、新田佳浩選手はうれしそうに話した。

 同社の前身、日立システムアンドサービスに障害者スキーチームが創設されたのは04年。10年後の14年には車いす陸上競技部も立ち上がり「チームAURORA」となった。その間、日立ソフトウェアエンジニアリングと日立システムアンドサービスが合併、現在の会社になった。

 合併会社に必要とされる「一体感の醸成」はもちろん、北米や中国、インドなど海外に子会社を持つ同社にとって、国際競技大会応援は「グローバルな意識の喚起にも役立つ」と人事総務部門を管掌する石川浩常務。だからこそ、いまの後援会の会員を「まだまだ増やしていきたい」と話す。

 AURORAは、イタリア語で「夜明け」を指す。日本初の障害者スポーツチームであるスキー部の活躍、発展を願って命名された。

 そのスキー部は06年トリノ、10年バンクーバー、14年ソチの冬季パラリンピック3大会に新田選手や阿部友里香選手らを送り、金3個、銀2個、銅2個のメダルを獲得した強豪チームである。20年東京大会招致決定後に誕生した車いす陸上競技部は、16年リオデジャネイロ大会に久保恒造選手が陸上5000メートルとマラソン競技に参加。今年、新加入の馬場達也選手とともに20年東京大会でメダルを目指す。

 同社は今後の目標に「障害者スポーツの盛り上げへの貢献」を掲げる。盛り上げには強い選手の育成が欠かせない。財政支援に加え、お得意の衛星利用測位システム(GPS)技術を活用し、クロスカントリーのコースをシミュレーションできるシステムなども開発したこともある。「同僚選手の活躍」を支える一般社員の「情熱」のたまものだった。

 熱い思いが求心力

 AURORA強化の責任者で、人事総務本部の部長職でもある荒井秀樹監督は、「情熱は磁石だ」と説く。熱い思いが求心力を高め、選手や指導者、応援・支援する人たちが集まり強い集団をつくる。そうした意味だと考えてよい。

 パラリンピックをきっかけに、「情熱」がほかの企業にも広まってほしい。それが障害者スポーツの発展を生み、スポーツ界の変革を促すことにもなろう。日立ソリューションズ「チームAURORA」の取り組みに、未来への可能性を思う。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)

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