郷鉄工所/亀山亭 施設増設で多額の負債、観光客も減少

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 ▼郷鉄工所 東証2部と名証2部に上場する産業機械製造の郷鉄工所は9月11日付で破産手続きを弁護士に一任した。

 同社は当初、ダム建設などで使用する建設機械修理などを手掛け、1962年10月に名証2部に上場。その後、破砕粉砕機などの橋梁(きょうりょう)鉄構部門を主業に、水門などの製造も行うなど異業種分野にも進出し、ピークの93年3月期には売上高約90億8800万円を計上した。

 しかし、その後は減収が続いた。16年3月期は環境装置製造(27.4%)、橋梁鉄構および水処理装置(23.6%)、ライニング品製造(23.2%)、破砕粉砕機製造ほかを手掛けていたが、売上高は37億9080万円まで減少。同期に5億9470万円の債務超過に転落した。

 2016年5月、債務超過解消に向け株主割当増資を行うと発表したが、予定の払込額に届かず失権。同年8月以降は金融機関からの借り入れが困難となり、厳しい資金繰りが続いた。17年3月期も業績改善は進まず、8月18日に取引先から金融機関口座が差し押さえされる事態となった。8月10日には17年3月期決算の有価証券報告書が期限内に提出できなくなり9月11日付で上場廃止が決定していた。

 ▼亀山亭 亀山亭は8月23日、大分地裁日田支部から特別清算開始決定を受けた。

 同社は1874(明治7)年、料亭として創業。戦時中の休業を経て1945年10月から旅館業を併営し、58年に現在地に観光ホテル「亀山亭」を建設した。業歴140年以上を数え、地域を代表する観光ホテルとして知られていた。しかし、その後の施設増設などで多額の負債を抱えていたうえ、観光客の減少などで売り上げは低下、厳しい資金繰りを強いられていた。

 2010年に金融機関から借入金の返済猶予などを受け経営改善に取り組んだが、業況は厳しく、支援機関と事業継続を前提として、会社分割による新会社への事業継承を選択。昨年4月に新会社の亀山亭ホテルを設立した。その後、亀山亭は債務整理を進め、今年3月の株主総会決議により解散した。

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【会社概要】郷鉄工所

 ▽本社=岐阜県垂井町

 ▽設立=1947年2月

 ▽資本金=7億1735万5860円

 ▽負債額=55億2000万円(2016年12月末時点)

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【会社概要】亀山亭

 ▽本社=大分県日田市

 ▽設立=1932年7月

 ▽資本金=640万1000円

 ▽負債額=約3億2800万円

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 〈チェックポイント〉

 郷鉄工所は2度の手形不渡りによる銀行取引停止処分。上場廃止が決定していたとはいえ、老舗の上場企業としては異例の倒産劇だった。資金繰りのための不適切な手形振り出しが監査法人から指摘され、経営の混乱を露呈していた。破産手続きで明らかにされる当社の経営実態に多くの関係者が注目している。

 亀山亭は過剰債務と観光客減少のダブルパンチで経営が悪化。新会社への事業譲渡を通じてホテル営業を続ける。先の九州北部豪雨災害では入浴サービスなどで地域貢献にも大きな役割を果たした。温泉地・日田を代表する観光ホテルは、地域振興の担い手としても捲土(けんど)重来に期待が集まる。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)