SMBC日興証券 マザーズ可視化プロジェクト

ベンチャー支援の現場から
東証マザーズに上場したサイバーダインのロボットスーツ「HAL」。SMBC日興証券はユニークなベンチャー発掘に力を入れていく=2014年3月、東京都中央区の東京証券取引所

 ■IPO活性に優秀なCFO配置を

 SMBC日興証券は慶応大学の琴坂将広研究室と共同で、東証マザーズ市場の可視化プロジェクトを開始した。起業家にとって新規株式公開(IPO)のハードルが高い点を考慮。「このような人材をそろえていけば、IPOにつながる」といった事例を示すなど、IPOの支援体制を強化するのが狙いだ。人工知能(AI)によって効率的に分析できる仕組みなども導入して、IPOの活性化につなげていく。

 共同プロジェクトではまず、東証マザーズ市場への上場時の役員に関する情報(1999~2016年)を分析し、可視化するなどの研究を行った。

 ベンチャー企業は一般的に、営業や開発に力を入れる半面、大企業に比べると管理部門が弱い。特に優秀な最高財務責任者(CFO)を配置することが経営を安定させる要となるため、CFOの前職の傾向などをまとめた。それによると、銀行関係の出身者の割合が減少する一方で、監査法人出身者の絶対数が増えていることが明らかとなった。

 一方、役員の動向をみると、09年以降はサイバーエージェントや楽天グループ、ユナイテッド、ディー・エヌ・エーをはじめとした新興企業出身者が増加しつつあることも分かった。

 分析結果を踏まえてSMBC日興証券では、人材確保の必要性といった観点からの提案に力を入れていく。

 また、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)各社との連携も強化。上場後も業績を着実に伸ばしている企業の役員の人物像を分析するほか、AIを活用して「こういった人材が存在するから上場を果たすことができた」といった情報を提供できる仕組みも構築する方針だ。

 青木英之執行役員は「覚悟を持って臨めばIPOは可能。そのためには優秀な人材の確保が不可欠だということを、一連の取り組みを通じてアピールしていきたい」と話している。