社会性、他にない特徴、話題性が記事に

Bizクリニック

 □広報ブレーン代表取締役・管野吉信

 メディアが報道する記事は広告と違い、基本的に対価を必要としない。メディアは多くの人々に影響を与えるニュースを、スクープによって、あるいは掘り下げて伝え、媒体価値を高めようと取材、編集している。当然、企業が提供する情報はすべて記事になるわけではなく、社会性、他にない特徴、ストーリー性、今日性、話題性などが求められる。中堅・中小企業でも「何が記事になるか」のポイントを押さえれば、掲載の確率は高まる。

 具体的なニュース例をみると、新製品・新サービスをはじめ、資本・業務提携、商慣習の見直し、M&A(企業の合併・買収)、海外進出、働き方改革、人材採用、中期経営計画策定、イベント、事業承継、トップ人事、地域振興、新規事業、新業態進出、調査・統計など幅広い。ニュースの切り口はさまざまだ。ところが中小企業は、せっかくニュースを生み出しているのに広報マインドが薄いため、記事にならないケースが多い。逆に宣伝意欲が高すぎて社会性、今日性を二の次にしてしまい、記事にならないこともある。

 実際に記事に掲載された中小企業の例を挙げよう。茨城県でゴルフ練習場を経営するW社は、高齢化によるゴルフプレーヤー減少に頭を悩ませていた。そこで、女性用の日焼けケア化粧品を開発して女性プレーヤーを増やそうと中堅の化粧品会社にアプローチした。茨城県で生産されたブドウ、栗、ニラネギ、柿のエキスを配合し、天然のポリフェノールによる「ご当地化粧品」を開発した。茨城県は農業生産量、ゴルフ場来場者数がともに全国上位にあり、この化粧品は農業振興と女性来場者数の増加を通じて地域を活性化できる。社会性を打ち出すことにより茨城新聞や日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイなどが取り上げた。

 また、オフィスのデザイン・設計を行うF社は、米サンフランシスコに初の米国拠点を設けるとともに、自社所有の媒体である「オウンドメディア」を立ち上げ米国情報を発信することにした。サンフランシスコ周辺はグーグルやアップルなど世界的なIT企業が集結するシリコンバレーだ。そのオフィスデザイン・設計情報と運用ノウハウを収集しシンクタンク化することで、世界のどの国からどの国にオフィスを展開しようと、F社に問い合わせれば最適なオフィス環境を構築できるようにする。グローバル化がますます進展する中で、今日性、話題性を投げかけ、日経産業新聞などが取り上げた。

 事実だけをみると、W社は日焼けケア化粧品の開発、F社は情報収集のための米国拠点新設に過ぎない。しかし、その事実が社会を映し、社会を変え、読者・視聴者の話題に上るものであればメディアは取り上げてくれる。

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【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。