(6)先端技術でCO2排出量を削減

環境経営に挑む 積水化学工業
電子ペーパーとフィルム太陽電池を搭載した電子看板

 住宅と同様、オフィスビルや商業施設でも、二酸化炭素(CO2)の排出量をいかに削減できるかが課題となっている。こうした中、積水化学は室内光にも反応し発電するフィルム型太陽電池と、蓄電機能を持つ大容量フィルム型リチウムイオン電池を組み合わせた、発電・蓄電一体型の新たなデバイスの開発に乗り出した。電源なしに空調や照明の制御を行うセンサーを実用化することによって、スマートオフィスなどの普及促進につなげる計画だ。

 新デバイスを実用化する上で重要な役割を果たすフィルム型太陽電池は、光を吸収する色素を利用して発電する色素増感太陽電池。通常のシリコン系太陽電池と異なり、照度500ルクス以下の室内でも発電でき、モジュール部のうち8割が影になっても発電を行う。

 また、高速で粒子を吹き付ける常温セラミック成膜技術を活用しているためモジュールのフィルム化を実現した。軽量化によって持ち運びが便利になり、曲線を描くようなデザインも可能になった。

 この特性を生かして大日本印刷と共同でさまざまな製品化の取り組みを進めており、第一段として屋内外でも発電・駆動するため電源が不要となる電子ペーパーを開発した。

 電子ペーパーは交通機関の時刻表や案内図、広告などを表示する。光の反射を利用しているため照明下や日中の屋外などでも見やすく、次世代の情報メディアとして期待されている。しかし、駆動に必要な電池交換や電源確保が普及の足かせとなっていた。

 今回開発したのは、こうした課題を克服できるタイプで、都内のコンビニエンスストアの店頭に電子看板として設置し、実証試験に取り組んでいる。今後は、急増する外国人観光客向けの案内板などの需要も期待できる。

 一方、積水化学のフィルム型リチウムイオン電池は一般タイプに比べ重量は3分の1と軽量化を実現しながら、3倍の容量を実現するなどの特徴を備えている。このため両フィルムの特性を一体化。蓄・発電一体型のデバイスについて、各顧客の要望に応じながら開発に力を入れていく。

 とくに需要が大きいとみられるのが、昼夜にわたって稼働させる必要がある領域。具体的にはスマートオフィスをはじめとして健康のモニタリング、防犯・見守りといった領域で活用されるIoT(モノのインターネット)センサー向けの実用化が進んでいくとみられる。

 高機能プラスチックス事業は、他社がまねできない技術を武器に世界で圧倒的なシェアを獲得することを売り物としている。代表格が独自に開発した自動車向け合わせガラス用中間膜。高い機能を武器に、この分野で世界シェア4割を握るというトップ企業だ。

 自動車には、快適性の維持と環境への負荷低減の両立が求められている。このためフロントガラスは傾斜角を強め、面積を広げる傾向が強い。結果として、室内に差し込む太陽光が増えエアコンの稼働率が上昇。燃費を悪化させることになる。こうした問題を改善する役割を果たすのが同社の中間膜。エンジン負荷が軽減されるため、走行中の二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる。

 一般的な中間膜は、ガラスが割れた際の飛散・貫通防止、紫外線カットなどの機能を備えている。ただ、熱線はほとんどが透過していた。

 これに対し積水化学の遮熱中間膜は、熱線を大幅にカットし車内の温度上昇を抑制する。例えば、フロントガラスに採用した場合、夏場の駐車中に触れないくらいに熱くなってしまうハンドルの表面温度が約10℃低くなる。

 また、遮熱だけではなく遮音やフロントガラスに情報を映し出すヘッドアップディスプレー用など、特殊な機能を付加した高機能中間膜の開発・拡販に注力している。

 世界的な自動車需要の高まりを背景に、世界の各地域で中間膜の生産を行っているほか、6月にはオランダに欧州研究センターを設立。世界に向けて新たな高機能中間膜を開発、発信していく。