独仏の鉄道大手が統合、日本勢ますます不利に… 欧州で攻勢かける日立でも敵わない?

 
アルストムの本社(AP)

 ドイツの鉄道車両大手シーメンスと、フランスの同業大手アルストムは26日、両社の鉄道事業を統合することで基本合意した。統合で売上高153億ユーロ(約2兆円)の世界2位の鉄道車両メーカーが誕生する。ドイツ・フランス連合で、世界最大手の中国中車(中国)を追い上げる。2018年末の統合完了を目指す。カナダのボンバルディアとともに「ビッグスリー」と呼ばれるシーメンスとアルストムの鉄道事業の統合が実現すれば、日立製作所など規模で劣る日本メーカーはますます不利な立場となりかねず、国際戦略に影響が出そうだ。

 規制当局の承認焦点

 今回の合意では、シーメンスの車両製造や信号の事業をアルストムに移す。シーメンスが新会社の株式の50%を保有する。新会社の最高経営責任者(CEO)はアルストム側が出す。統合による合理化などの相乗効果は年間4億7000万ユーロと見込んでいる。シーメンスはカナダのボンバルディアとも協業の可能性を協議したものの、アルストムとの統合のほうが競争力を高められると判断した。

 ただ、シーメンスとアルストムの統合は、両社の牙城である欧州はじめ、市場の競争環境をゆがめる恐れもあるため、欧州連合(EU)などの規制当局が承認するか、予断を許さない。各国の当局が認めれば、世界の鉄道市場でシェアが伯仲していたシーメンス、アルストム、ボンバルディアの3社の勢力図が大きく塗り変わることになり、日本メーカーにも影響が及ぶ。

 日本勢は、最大手の日立製作所でも鉄道事業の売上高は5000億円程度にとどまり、事業規模で大きく見劣りする。川崎重工業や鉄道会社傘下のメーカーもあり、海外ほど競争力強化に向けた再編も進んでいない。

 日立、欧州で攻勢も

 しかも日立は欧州市場で攻勢をかけている最中で、新たに誕生するシーメンス・アルストム連合と直接対峙(たいじ)する見込みで、価格競争力や開発力の面で太刀打ちできなくなる懸念がある。

 日立は鉄道事業で、20年代の早い時期に売上高1兆円を達成したい考えで、その布石として15年にイタリアの鉄道車両メーカー、アンサルドブレダの事業を買収し、信号システムを手がけるアンサルドSTSも連結対象に加えた。英国で高速鉄道を中心とする大型案件を受注するなど、海外事業も拡大している。車両だけでなく信号や運行管理システム、保守に事業範囲を広げる一方、目標達成のためにさらなるM&A(企業の合併・買収)も視野に入れていただけに、シーメンスとアルストムの統合と独禁法に基づく規制当局の判断はその買収戦略にも波紋を呼びそうだ。

 一方、鉄道車両には、自動車と同様に自動運転の波が押し寄せている。シーメンスは30年までの主要路線における完全無人化を目指すなど、既に次世代戦略の推進にも動き出しており、日本も再編を加速するなど競争力強化を急がないと、国際市場で根こそぎ受注を奪われかねない。(井田通人)

Read more