ヤマイチ合坂商店/蛸屋菓子店

ハザードマップ

 ■多店舗化で拡大、借入金が負担に

 ▼ヤマイチ合坂商店 ヤマイチ合坂商店は9月7日、釧路地裁から破産開始決定を受けた。

 同社は1971年6月に創業した水産物の加工販売業者。地元で水揚げされたタコ、ホッケ、秋サケ、サンマなどを取り扱い、2001年頃までの売上高は年間2億円台で推移していた。04年以降は積極的な設備投資で増収となったほか、関連の龍華貿易を経由して中国などへ輸出、売り上げをさらに伸ばした。

 イカが豊漁となった13年12月期は過去最高となる約16億200万円の売上高を計上した。

 しかし、イカの水揚げ量の落ち込みに伴い売り上げは減少。16年5月期(決算期変更)の売上高は約4億5100万円にとどまり、業況が回復しないため、工場の操業を停止し、今回の措置となった。漁具の修理および再生販売を手掛けていた関連の日中商事と龍華貿易もヤマイチ合坂商店に連鎖し、破産開始決定を受けた。

 ▼蛸屋菓子店 蛸屋菓子店は8月31日、東京地裁から会社更生開始決定を受けた。

 蛸屋菓子店は元禄11(1698)年に仙台藩(現在の宮城県)で「赤壁楼」の名称で和菓子屋を創業したのが始まりといわれている。戦時中は一時休業していたが、戦後に栃木県小山市へ移転し、和菓子屋を再開した。「御菓子司蛸屋総本店」の店舗名で栃木県内を中心に、茨城県、埼玉県、群馬県に102店舗(FC店を含む)を展開し、「たこ壺もなか」「陣内評定餅」「栗石がえし」「みかもの月」などの自社商品を販売してきた。ピークとなる1990年8月期には約22億円の売上高を計上していた。

 しかし、多店舗展開に伴う不動産投資や過去の赤字補填(ほてん)を金融機関からの借入金に依存したことで余裕を欠く資金繰りとなっていた。金融機関から返済猶予を受けるなどしてしのいでいたが、厳しい経営環境は改善せず、債権者からの会社更生法申し立てで、今年6月に保全管理命令が出ていた。

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【会社概要】ヤマイチ合坂商店

 ▽本社=北海道目梨郡羅臼町

 ▽設立=1987年1月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=15億8281万円

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【会社概要】蛸屋菓子店

 ▽本社=栃木県小山市

 ▽設立=1963年1月

 ▽資本金=300万円

 ▽負債額=約13億円

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 〈チェックポイント〉

 ヤマイチ合坂商店は地元羅臼産の鮮魚中心の水産加工会社。一時、イカの取り扱いを増加させて業績を伸ばしたが、記録的な不漁による水揚げ量の減少がダメージとなった。最近はサンマの不漁も深刻だが、豊漁・不漁の予測は極めて難しい。少なくとも単一商品に依存しないリスクヘッジが重要だろう。

 蛸屋菓子店は300年以上の業歴を誇る老舗で、北関東中心に知名度を有していた。多店舗化で規模拡大を図ったが、逆に投資負担を招いた。老舗企業には変化に応じた柔軟な経営姿勢が求められる。歴史に裏打ちされた伝統をどう守っていくか。そのバランス感覚も同時に不可欠といえる。(東京商工リサーチ常務情報本部長・友田信男)