少子化… 国内市場曲がり角に先手 規模拡大で海外に活路

スシロー、元気寿司統合へ
記者会見するスシローグローバルHDの水留浩一社長(右)と神明の藤尾益雄社長=29日、東京都千代田区

 スシローグローバルHDと元気寿司が手を組むのは、規模の優位を生かして食材調達コストを引き下げると同時に、海外展開を加速するのが狙いだ。回転ずしの国内市場規模は拡大を続けているが、長期的には少子高齢化で“胃袋”の数が減少するのは避けられない。業績が好調なうちに規模を広げ、成長市場への投資を急ぐ必要があると判断した。

 「安定的な株主構造となり、強い競争力を持ったグループになる」

 スシローの水留浩一社長は、29日の発表会見で経営統合への期待を述べた。1皿100円均一を長年売りにしてきた同社は、大株主だったゼンショーと経営権を争い、平成21年に上場廃止。英ファンドの下でメニュー多様化などの改革を進め、今年3月に再上場を果たしたばかりだ。

 一方、コメ卸最大手の神明は元気寿司を27年に子会社化したほか、水産物や青果の卸会社を相次ぎ買収。販路拡大へ向け、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトと元気寿司の統合を目指した経緯もある。

 スシローと元気寿司に食材を一括供給できれば、利益は大きい。「誰にも負けない価格で納入できるだろう」と、神明の藤尾益雄社長は自信を示した。

 両社が統合すれば国内店舗は600を超え、業界2位で約400店を展開するくら寿司(くらコーポレーション)や、ゼンショーHD傘下で500店規模をうかがう3位のはま寿司を突き放す。大阪が拠点のスシローと東日本を中心とする元気寿司は、商圏が重なりにくいのもメリットだ。

 回転ずしの市場規模は拡大が続いている。調査会社の富士経済によると、20年の4440億円から28年には6055億円と36%成長。各社の積極出店を背景に、今年も約200億円の上積みが見込まれる。

 ただ、外食業界でも人手不足は深刻で、今後も順調に出店を続けられるとは限らない。中国の“爆食”などによる水産物の価格高騰も懸念される。少子高齢化により、ファミリー層を狙った低価格路線という従来のビジネスモデルは曲がり角を迎え、各社とも新メニューの開発に懸命だ。

 それだけに両社の経営統合後は、海外11カ国に160店以上を展開する元気寿司のノウハウが事業成長のカギとなる。回転ずし業界のさらなる再編につながる可能性もある。(山沢義徳)