インスタグラムなのに?手書きツイート増殖中

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インスタグラムの検索画面で、料理や有名人の写真にまじって目立つ手書きツイート

 写真共有アプリ「インスタグラム(インスタ)」で、最近「手書きツイート」が流行している。文字やイラストを書いたメモ用紙などを撮影して投稿するものだ。見栄えの良い写真を投稿し合うためのネットワークで、なぜ今、あえて手書きなのか。その背景を探った。

 赤裸々な悩みも…

 「インスタ映え」という言葉も生まれるほど、おいしそうな料理や一面の花畑など美しい写真であふれるインスタ。そんななか、最近目を引くのが、メモの写真。「手書きツイート」などと呼ばれ、検索すると44万件近く見つかる。万年筆などお気に入りの文房具で書かれた“映え”るものもあるが、普通のペンで書かれた日記のようなものが多い。「幸せすぎ」「筋肉痛」といった何気ない一言だけのものもある。

 なかには複数の画像を紙芝居のように表示できる機能を利用し、恋愛の悩みなどを赤裸々に綴ったものまである。投稿者の年代は10~30代の女性とみられ、手書きツイートしかしないアカウントも少なくない。

 複数の“文化”が融合か

 「手書き投稿の文化自体は以前からあったんです」とするのは、SNSの特徴を紹介するWEBメディア「kakeru」(ネット広告代理店「オプト」運営)編集長の三川夏代さん(28)。一部システム手帳ファンの間で使い方を共有する目的で投稿されていたという。ただ、多くはなかった。

 今年2月ごろ、一部の発信力の高いユーザーが「手書きツイート」という表現を使って筆文字などを投稿し、まねる人が続出。最初は文字の練習画像が多かったが、やがて中高生や大学生とみられる若い女性ユーザーが恋人との思い出や悩みを綴り始めると、ほかの世代も日記を投稿し始めたという。

 「写真がなくて投稿できなかった内容が表現でき、共感してもらえる。画像編集よりアレンジの自由度が高く、個性が出しやすいのも魅力ですね。今後もインスタの新たな使い方として広がっていくのでは」と分析する。

 見直される手書きの良さ

 調査会社「テスティー」が今年8月にインスタを利用している女子高生477人に行ったアンケートによると、約37・7%が「手書きツイート」を知っていた。「手書きの方が本音が書いてあり、伝わりやすい」「温かみを感じる」「人の字が見られて楽しい」などの好意的な意見が多かった。

 日本語学が専門で「謎の漢字」などの著書がある早稲田大学社会科学部の笹原宏之教授(51)は「手書き文字に触れる機会が減っている現代だからこそ、価値が高まっている」とみる。

 笹原教授によると、手書き文字はまったく同じ字形を本人でさえ二度と書けないところに魅力がある。そのときの字の正しさ、美しさ、巧みさ、丁寧さなどから書き手の人柄や知性、ときには感性まで感じ取れることがある。

 とくに女性は、言葉や文字に対する関心が男性よりも高く、「文字を美しく書いたりかわいく書いたり、エネルギーをかけることで相手に思いを伝えられると感じる傾向にある」と、指摘する。このため、赤の他人の「手書きツイート」に親しみを感じたり共感しやすいのだという。

 「若い人にもっと書き文字の魅力に気づいてもらえるとうれしい」と話している。

 【インスタグラム】 スマホ向け無料写真共有アプリ、SNS。利用者は世界中で8億人、国内で1700万人にのぼり、渡辺直美さんなど芸能人も多い。カラフルなスイーツや旅先の絶景写真を投稿する人も多く、アプリ内で公開すると見栄えがよいことを表現する「インスタ映え」という言葉が一般的になった。

(WEB編集チーム 池田美緒)

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