みなと銀行による農業参入支援(1)

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太畑延之調査役

 ■中山間地域振興のモデル構築進行

 「中山間農業改革特区」として、2014年5月1日に国家戦略特区指定を受けた兵庫県養父市。多くの中山間地域と同様に急速な人口減少や高齢化に悩む同市は、この3年間に大きく6つの規制改革を実施し、中山間地域振興のモデル構築を進めてきた。

 農業委員会と市の事務分担による農地の流動化促進、農業生産法人(現・農地所有適格法人)の要件緩和を受けて設立された11法人による農業経営のスタート、企業による農地取得の特例など。いわゆる「岩盤規制」を取り払うことで全国から注目を集める自治体だ。

 そんな養父市で実現した異業種からの農業参入。地元建設業者による農地所有適格法人「やぶの農家」設立を支援したのが、兵庫県に拠点を置くみなと銀行だ。

 事の始まりは15年4月。養父市が特区となり農業で地域を活性化しようという機運が高まる中、養父市の建設業者・福井建設の福井美樹男社長が農業へ参入すると意を決した。当時、市外からの参入はあったが市内で手を挙げる企業は少なく、地元待望の決意表明となった。

 同社は地元を代表する建設業者で、みなと銀行の取引先でもある。同行和田山支店の折井聡行支店長(当時)が訪問をする中で、福井社長から農業参入の意向を固めたことを聞いたことをきっかけに支援がスタートした。

 「福井建設は地元でも有数の建設業者。そのような取引先が国家戦略特区の養父市でアグリビジネスに取り組むと伺い、ぜひ応援させていただきたいと考えました」と、みなと銀行地域戦略部の太畑延之調査役は振り返る。

 この時点では事業の詳細は未定だった。新しく農業法人を設立し、その会社の事業として展開したい、稲作を行う兼業農家社員の手で米作りを本格化させたいという方針はあったが、それ以外の栽培品目や生産規模など、ビジネスプランは固まっていなかった。ここから、みなと銀行のサポートのもとで事業計画の策定が始まった。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp