セキュリティーなど付加価値提供

リーダーの素顔

 □インフォメーション・ディベロプメント社長・舩越真樹さん

 さまざまなモノが通信でつながるモノのインターネット(IoT)が普及しつつある中、コンピューターやネットワークを狙ったサイバー攻撃への懸念も広がる。ITサービスを展開するインフォメーション・ディベロプメントのトップとして、「サイバーセキュリティーや人工知能(AI)など、付加価値の提供に力を入れることで会社を大きくしていきたい」と意気込む。

 --サイバーセキュリティー問題に取り組んだのはいつ

 「20年前に事業参入したのですが、その頃企業の間ではサイバー攻撃への危機意識は希薄でした。ただ、私の前職は損害保険会社の営業マンだったので、『損保はお守り。サイバーセキュリティーも、何かあったときのお守り』と、周囲を説き伏せたのです。社員の結束度を高めるには、『組織は常に新しいことに取り組む』という癖をつけなければならない。そういう思いも原動力でした。当時の社長は妻の父親で創業者だったので、『婿さんが何かやっている』といった反応が強かったです」

 --事業は順調に進んだのか

 「市場がセキュリティーの有用性に気づき始めたのは、2000年以降。私の発想は早すぎたようです。ウェブサイトを判別し、(危険サイトなどを)選択的に排除するフィルタリング技術に着目して、米国の会社に1億円以上を投資したのですが失敗。最終的に、二束三文で売却しました。しばらくして再び取り組み、現在は業績を支える役割を果たしています」

 --いったん撤退したときには責任を取った

 「副社長から専務に降格しましたが、周囲は『婿さんだから、次の株主総会で再び昇格するのだろう』とみていました。シナリオ通りだと悔しいので、復帰を断りました。任期満了まで2年間にわたって、専務の役職を続けました」

 --降格人事をどのように受け止めたのか

 「当然ながら悔しいし、人の目が気になりました。こういう事態に陥った理由を分析することが重要なのに、当初はあまり反省せず、八つ当たりばかりしていました。ただ、貴重な経験をしたという実感があります。そんなこともあって、私が経営トップになった後も降格人事を取り入れています」

 --数値目標を達成できないと、降格対象になるのか

 「運に加え、過去に担当していた人の積み重ねも影響するので、それはありません。ただ、組織をまとめられなかったり、力でねじ伏せるマネジメントが顕著だったりした場合、何度かサインを出し、それでも変化がなければ、預けた肩書を返上してもらいます。モチベーションが低下しないよう復活人事も用意しています」

 --多様な人材を積極的に活用するダイバーシティ経営にも力を入れている

 「20年前のIT業界は『きつい』『厳しい』『帰れない』といったブラック的なイメージが強く、女性の占める割合も低かったので、当時から女性の採用を積極的に進めてきました。現在の女性比率は3割で、第1子を出産して復帰する割合は約9割です。女性幹部も積極的に登用しています。外国人も1割。ダイバーシティ経営の資産を築くには、20年の歳月が必要でした」(伊藤俊祐)

                  ◇

【プロフィル】舩越真樹

 ふなこし・まさき 慶大商卒。千代田火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)を経て1995年4月インフォメーション・ディベロプメント入社。同年6月取締役。副社長などを経て2006年1月から現職。鳥取県出身。58歳。

                  ◇

 ≪DATA≫

 【入社経緯】妻の父親が創業者とは結婚直前まで知らなかったという。転職の誘いを受けたものの、「損害保険の仕事は楽しく辞める気はありませんでした」。しかし、マーケティング論の第一人者で大学のゼミ指導者だった村田昭治教授から「3回目に誘いがあったときは腹を決めなさい」といわれ、その通りにした。

 【社員サロン】大半の社員が、取引先企業のデータセンターに配属されているため、本社に寄った際の居場所にしようという観点から、米国の西海岸風など3つのテーマで構成。毎月、社員交流会を行い、顧客を招待したミニコンサートも開く。

 【多彩な趣味】「10年ほど前から長男と一緒に登山にはまってます」。日本百名山のうち、北アルプスや南アルプスを中心にすでに80の山を制覇。50歳からはピアノ、55歳からはギターを開始。ギターは「禁じられた遊び」を演奏できるようになった。出張時を除き、「毎日1曲でもよいから練習するようにしています」。