柏崎刈羽原発「合格」、ベストミックス達成遠く 新増設解禁が不可欠

 
柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案について会合に臨む原子力規制委の更田豊志委員長(奥左)。手前は傍聴人=4日午前、東京都港区

 東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原子力規制委員会の審査に実質的に合格したことで、全国の停止中の原発の再稼働に追い風が吹きそうだ。ただ、電源構成に占める原発比率は足元で2%(平成28年度)にとどまり、政府が42年度の目標に掲げた20~22%にはほど遠い。新増設を“解禁”するなど政策の転換を図らなければ、達成が不安視される。

 「柏崎刈羽原発の再稼働は象徴的な案件になる」

 電力大手幹部は、こう説明する。柏崎刈羽は全7基で計800万キロワット以上の出力を持つ世界最大規模の原発だ。なにより、原発事故の当事者である東電が事故を起こした福島第1と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の運転を再開することで、長らく続いた事故後の混乱は一つの区切りを迎える。

 とはいえ規制委の安全審査は長期化し、再稼働は遅々として進まない。全国42基で合格が出たのは柏崎刈羽を含め7原発12基のみ。

 政府が42年度時点の望ましい電源構成(ベストミックス)で示した原発比率の実現には着実な再稼働だけでなく、原則40年の運転期間を超えた高経年原発の稼働延長も必要。再稼働が加速しなければ「10%でも難しい」(政府関係者)と悲観する声がある。

 一方、世耕弘成経済産業相は原発停止の長期化により、電気代が一般家庭で年間1万円、中小企業で600万円増え「大きな犠牲を強いている」と指摘する。

 二酸化炭素(CO2)を出さない原発は地球温暖化対策にとっても重要だ。小池百合子東京都知事が代表の新党「希望の党」は「2030(平成42)年の原発ゼロ」を掲げるが、世耕氏は「現実的で責任のある政策を」と強調する。

 しかし、経産省は検討中の新たなエネルギー基本計画で原発の新増設を引き続き“封印”する構え。「再稼働が進まない状況で提案しても理解が得られない」(幹部)との判断だが、腰が引けた印象は否めない。

 再稼働が進まず新増設も認めなければ、技術者は流出し、国内で原子力技術を維持することが難しくなる。原発を中長期的に使い続けると決めた以上、新増設にも正面から向き合うことが必要だ。(田辺裕晶)

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