みなと銀行による農業参入支援(3)

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新庄徹也・投資業務部副部長

 ■10期分の決算予測行い採算性検証

 農業参入を目指す福井建設は2015年8月、高級品種のニンニク「福地ホワイト六片」の試験栽培のため、圃場(ほじょう)整備を始めた。使用する土地は利用されていない休耕地だったため、まずは土壌の改良や整地を行ったのだが、みなとキャピタルの新庄徹也・投資業務部副部長はここで福井建設の実力を目の当たりにした。

 重機を使った大掛かりな作業を手際よく行い、雑草の生えた土壌を入れ替えるために表面の土を削り取ったり、水はけを良くするために測量して平らにならし、パイプを埋めたり。土木建設業を主業とする企業にとって圃場整備は得意分野なのだと実感、「従来の専業農家よりもむしろ高度な整地を行っており、これなら質の良いニンニクが生産できると確信を得た」(新庄副部長)という。

 みなと銀行は、栽培品目の策定だけでなく、定量面でも事業立ち上げの支援を行った。具体的には、10期分の決算予測作成を通じた採算性の検証だ。

 法人を設立して事業を開始することは決まっていたため、設立時点での資産・負債の状況をヒアリングし、まずは基準となる開始B/S(貸借対照表)を作成した。次いで、計画に沿った生産を行ったと仮定して、作付面積や単価から売り上げを予測。さらに、人件費などの費用も考慮して、将来のB/SとP/L(損益計算書)を細部までシミュレートすることで、事業の妥当性を十分に検証し、採算性を確認していった。

 「決算予測を一種のマイルストーンとし、『いつまでに黒字化を達成しましょう』『10年後はこういう姿を目指しましょう』といった展望を共有しました。また、収益の予測から『やぶの農家』の株価の推移も試算し、私どもが出資した際の妥当性や収益性についても同時に検証していきました」と、新庄副部長は話す。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp

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