東電、収益改善に道筋 柏崎刈羽「合格」、原子力再編・統合へ前進

 

 原子力規制委員会が4日、新規制基準への適合を認めたことで、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は再稼働に一歩近づいた。東京電力ホールディングス(HD)は再稼働で収益改善に道筋を付け、他電力との原子力事業の再編・統合への準備を進めたい考え。再編に慎重な他電力の姿勢にも、変化が生じる可能性がある。

 東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働で、火力発電の燃料費が年間最大2200億円減ると試算。収益改善分は、福島第1原発事故の賠償・廃炉費用に必要な年約5千億円の原資に充てる。ただ、国が原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて肩代わりする除染費用4兆円の支払いには、さらなる収益改善策が不可欠になる。

 5月に公表した再建策「新々総合特別事業計画」は賠償・廃炉費用に加え、除染費用の確保に年4500億円の利益上積みを目標として掲げた。

 国が保有する東電株の価値を上げて売却益を増やすためだが、「到達には再稼働や経営合理化だけでは限界がある」とも指摘。原子力事業は今後10年以内に他社と新会社(共同事業体)を設立し、調達力強化や投資負担の分散で収益を拡大する方針を示した。東電株に加え、新会社の株式売却益を除染費用に充てることも検討する。

 東電HDの小早川智明社長は6月の就任会見で、「(原子力事業は)社内カンパニー化も視野に入れる」と表明。カンパニーとして独立させることで責任や採算性を明確にし、再編への環境作りを進める狙いとみられる。

 これに対し、他電力からは「収益改善が再編の前提条件」という声が上がる。再稼働で収益性が大幅に向上すれば、他電力にとっても再編の効果が出てくる。

 ただ、地元との信頼関係が不可欠の原発は、「(再編で)事業者が変わることはあり得ない」との慎重な見方も根強い。

 東電HDが収益力を取り戻し、再編・統合を実現できるかどうか。着実な再稼働の実現がカギとなる。(会田聡)