パナやテスラに挑戦状 欧州EVバッテリー企業連合 ドイツ中心に創設

提供:ブルームバーグ
ダイムラー傘下企業のEV向けバッテリー製造ラインを視察するドイツのメルケル首相。ドイツは同分野の欧州巨大企業連合実現に意欲を見せている=5月22日、ドイツ東部カーメンツ(ブルームバーグ)

 欧州最大の経済基盤を持つドイツを中心に、電気自動車(EV)向けバッテリー製造の欧州企業連合が組成される見通しとなった。EVの世界的広がりを見据え、重要技術である同分野で、先行する米EV大手テスラやパナソニックなど外国勢に挑戦する。

 最大22億ユーロ投入

 EV開発競争はテスラや日産自動車をはじめ世界の自動車各社に広がっている。欧州をはじめとする世界主要国の政府が化石燃料車の販売を禁止する方針を打ち出しているためだ。フランス、インド、英国に続き、世界最大の自動車市場である中国も9月、化石燃料車の生産・販売の終了に向けた計画の作成に入ったと発表した。米カリフォルニア州も同様の規制を検討している。

 EVコストの約4割はバッテリーと電力伝達システムが占める。だが欧州ではバッテリーの生産は始まったばかり。不足分のほとんどをパナソニックやLG化学、サムスンSDIなど日韓のバッテリーメーカーが埋めている。これに対抗するため、欧州連合(EU)行政執行機関である欧州委員会は、バッテリー開発に最大22億ユーロ(約2916億円)を投じる方針だ。欧州委のシェフチョビッチ委員(エネルギー担当)は9月、独紙シュツットガルト・ツァイトゥングのインタビューで「バッテリー業界のエアバスが必要だ。バッテリーの技術は、輸入するには重要度が高すぎる」と主張した。

 欧州委の動きの背景には、エネルギー貯蔵装置の製造技術で追いつかないと主要産業が落後しかねないとの危機感がある。次世代のEVの動力源はリチウムイオン電池が担う見通しだ。伊エネルギー大手エネルのスタレイス最高経営責任者(CEO)は9月、EV向けバッテリーの開発に投資すると発表した。

 EUのエネルギー担当報道官イトコネン氏は4日、「欧州委はEUにおけるバッテリー製造を戦略的目標としてとらえ、投資に関する主要な判断を迅速に下す必要があると考えている。欧州の企業は供給網全体で協力し、可能な限り投資を共有すべきだ」と連携の重要性を強調した。独メルケル政権はバッテリーの欧州企業連合創設に前向きだ。経済・エネルギー省のバロン報道官は4日、「欧州レベルでのバッテリー製造の問題に欧州委がようやく腰を上げたのは、適切で重要だ。主要技術について欧州が主導権を握る必要があり、Eモビリティーにとってバッテリーは差別化につながる最も重要な要素の一つだ」と評価した。

 協力得られるか懸念

 シェフチョビッチ委員の主導で11日にブリュッセルで開かれる会合には、化学大手BASFや自動車大手BMWをはじめとするドイツの大手製造業が招かれている。

 独企業はこれまで海外勢に後れをとっていたが、2020年以降に多くのEVモデルの生産が始まるのを控え、バッテリーの供給を確保する必要性を認識するようになってきている。自動車大手フォルクスワーゲン(VW)やダイムラー、鉄鋼大手ティッセンクルップなどの企業はそれぞれ単独で取り組みに着手。VWのミュラーCEOは9月、同社グループの300種類のモデル全てでEVを製造する広範囲な計画を発表。開発に200億ユーロを投じて30年までにEVモデルを投入すると表明したが、この際、EV向けバッテリーにもさらに500億ユーロを投資する方針を示した。

 同国で登録済み自動車に占めるEVの割合は、現時点で1%未満。メルケル政権関係者によると、同政権は生産・販売部門を共有する企業連合の設立を支持する意向だが、大手企業が抱えるそれぞれの戦略との兼ね合いがあり、協力を得るには大変な労力が必要になるとの懸念もあるという。(ブルームバーグ Brian Parkin、Kevin Buckland)

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