日の丸交通、外国人を本格採用 タクシー人手不足と訪日客増に対応

 
日の丸交通に採用されたエジプト出身のモハメッド・モスアド・セリムさん

 タクシー大手の日の丸交通(東京都文京区)は、外国人従業員の本格的な採用に乗り出す。来年3月までに現在の4倍強に当たる30人、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年には100人まで増員する計画だ。五輪に向けて急増している訪日外国人観光客と、深刻さが増している人手不足の問題に対応するのが狙い。

 タクシー乗務員は単純労働とみなされ、就労ビザが発給されない。このため外国人を乗務員に採用したくても、一般のタクシー会社では進まなかった。

 これに対し、日の丸交通は外国人を観光業務に従事する高度人材として採用、国際業務ビザの取得を可能にした。正社員として雇用し、将来の幹部候補として適性を見た上で乗務以外の部門への配置も検討する。

 同社の外国人募集の基準は、日本語の読み書きで高い能力を備え、運転免許を所有していることが条件だ。これまでに韓国、中国、ブラジル、エジプト出身の7人が採用され、業務に従事している。

 このうち4人は40~50代で国内ITエンジニアなどからの転職組。既に永住権を取得している。現地の転職サイトから応募したエジプト人は、英語・日本語の観光ガイド資格を持ち、国際業務ビザを取得した。

 採用された外国人は「仕事に対して前向きに取り組んでいる」(企画部の西川浩康課長)といい、売り上げを伸ばしている。特に外国人客から高く評価されているのが、得意の語学力を生かした観光タクシーの運転だ。7人に続く人材を見いだそうと、採用担当者が台湾に出向いて面談会を実施した。全員と面談できないほど応募者が殺到したため、2回目の開催を予定しており、これを機に採用活動を本格展開する。

 大和自動車交通など東京の大手4社は外国人対象の募集を行っていない。しかし、政府は訪日外国人を20年までに4000万人受け入れることを目標に掲げ、都内でタクシー需要が高まるとみられるだけに、日の丸交通に追随する動きが出てきそうだ。