神鋼・日産、相次ぐ不祥事 揺らぐ日本のものづくり 「経営の劣化重い」

 
記者会見で頭を下げる日産自動車の西川広人社長=19日、横浜市西区(福島範和撮影)

 ■組織ぐるみ、モラル低下 納期の厳守、現場に重圧

 神戸製鋼所や日産自動車など日本を代表する製造業の不祥事に歯止めがかからない。両社には品質に対する意識の低下と、企業統治が有効に機能していない点で共通しており、不正の闇は深い。現場の力が評価されてきた日本の製造業全体への信頼を揺るがしかねない異常事態だ。

 「再発を防いで生産を再開し、信頼を取り戻す。思い切った手を打つ」。日産の西川広人社長は19日の会見でこう述べた。

 だが、額面通りに受け取るのは難しい。西川社長は新車の無資格検査問題発覚を受け、2日の会見で「資格のある検査員が行う態勢に百パーセントなっている」と説明していた。舌の根が乾かないうちに、再び問題が露見した格好だ。

 再発防止策を徹底した直後に新たな不正が露見する構図は神戸製鋼も同じだ。同社は昨年、グループ会社が日本工業規格(JIS)違反の不祥事を起こしたばかり。だが、今度はアルミなどの多くの製品でデータの改竄(かいざん)が発覚した。

 ものづくりの現場にルール違反が当たり前のこととして根付いている実態は、組織全体のモラルの低下を浮き彫りにしている。

 日産は正規の検査員が無資格の従業員にはんこを貸す手口で、国の規定に反して新車の最終検査をしていた。西川社長は「現場責任者である係長と課長とのコミュニケーションギャップが背景にある」と説明するが、違反を認識しながら組織ぐるみで不正に手を染めていた疑いもある。

 一方、神戸製鋼の性能データ改竄問題では、製品が顧客と取り決めた仕様に満たない場合、了解を得た上で引き取ってもらう習慣「特別採用(トクサイ)」を一部で悪用していたことが判明。トクサイ自体は不正ではないものの、データを改竄して出荷した製品までそう称していた。

 国内の製造業は海外勢との厳しい国際競争にさらされている。一方で、製造の現場は効率化を名目にぎりぎりまで人員も絞り込まれている中、受注を獲得し、納期を達成するための強いプレッシャーがかかる。

 神戸製鋼は経営陣による不正の指示を否定。現場が納期厳守の重圧を過度に感じていた可能性は否めず、川崎博也会長兼社長も「ないとはいえない」と話す。日産の西川社長も、限られた人数で作業するよう現場に重圧がかかっていたのではないかとの問いに、「そうした土壌はあったのではないか」と認めた。

 日本製造業で低下しているのは品質やモラルだけではない。競争力低下もデータではっきり示されている。日本生産性本部によると、2000年に米国に次ぐ2位だった日本の製造業の労働生産性は11位まで転落。生産性を高めるモノのインターネット(IoT)ではドイツや米国に大きく立ち遅れている。

 危機的な状況に、日本の経営者は手をこまねいているようにしかみえない。経済同友会の小林喜光代表幹事は「日本の経営の劣化はきわめて重く受け止めている。他山の石として見直すことが必要」と警鐘を鳴らした。

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