(1)半導体子会社の売却先 綱川社長「妥当と判断」

東芝臨時株主総会詳報
東芝臨時株主総会の会場受付へ向かう株主ら=24日午前、千葉市美浜区 (川口良介撮影)

 経営再建中の東芝の臨時株主総会が24日、千葉市で開かれた。米原発事業で生じた巨額損失を穴埋めするための半導体子会社「東芝メモリ」の売却や6月の定時株主総会で報告できなかった平成29年3月期決算を報告し、綱川智社長ら経営陣の大半の再任を諮ったが、有価証券報告書の提出が法定期限から1カ月以上遅れ、東芝メモリの売却交渉でも迷走を重ねた経営陣に注がれる視線は厳しい。

 会場周辺には総会前から大勢の株主や報道陣が詰めかけた。東京都内在住の無職の男性(80)株主は「今後どうなるか不安ですよね。今の経営陣には見識のある人がおらず、全員退任してやり直すべきだ」と厳しい見方を示した。

 一方、今回、初めて株主総会に参加するという50代男性からは「東芝はパソコンなど良い商品を生産しており、経営再建を応援したい」との前向きな声も聞かれた。

 東芝メモリ売却をめぐっては、米投資ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と9月末に契約したが、関係各国の独禁法審査に少なくとも半年程度かかるとされ、債務超過の解消期限となる30年3月末に売却を完了できるかは微妙な情勢。間に合わない場合の対応も株主の重大な関心事になっている。

 また、東芝の取締役候補は現在より1人多い計10人。綱川氏ら8人は再任、秋葉慎一郎副社長ら2人は新任となる。秋葉氏は27年に発覚した不正会計問題で、法的責任は問われなかったものの外部委員会の調査報告書で関与が認定されており、取締役昇格には社内外で疑問の声もある。

 東芝の臨時株主総会は午前10時、会場の千葉市の幕張メッセで綱川智社長の開会宣言で幕を開けた。総会の冒頭、綱川社長が「まずおわび申し上げる」と切り出した。「6月に決算報告を行えず、メモリ事業の売却にも時間を要した。株主の皆様に度重なるご迷惑をおかけしたことに、改めて心からおわび申し上げる」と重ねて株主に陳謝した。

 冒頭発言の後、ビデオで29年3月期決算を報告したほか、社会インフラ事業やエネルギー事業など各事業のトピックスなどについての説明があった。

 その後、財務担当の平田政善専務が29年3月期決算で監査法人から決算のお墨付きである「適正意見」が得られなかったことに対する東芝の見解を説明。米原発事業の巨額損失を東芝の経営陣が認識した時期をめぐり、PwCあらた監査法人と見解の相違があり「当社としては会計基準に準拠した処理を行っているとの認識だ」と述べた。

 また、3月に破綻した米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が手がけ、工事が遅れている米原発建設に対して東芝が債務保証の上限額を確定したことや、内部管理体制に問題を抱える「特設注意市場銘柄」の指定が今月解除されたことなどについても説明した。

 その後、スクリーンに映し出された資料映像とともに、綱川社長が東芝のこれからの姿について、「社会インフラを核に4つの事業領域に注力する」方針を示した。(1)資金創出力の強化(2)成長の種の育成(3)パートナーとの共創-という3つの施策を進め、「中長期的に利益率の高い事業にする。確かな技術で東芝の成長につなげる」と意気込みを語った。

 総会開始から50分以上経って、ようやく臨時株総の決議事項である決算報告、取締役の選任、東芝メモリの売却契約についての概要や狙いなどが報告された。

 綱川社長は東芝メモリの日米韓連合への売却について「複数の買い手候補と度重なる交渉を行い、合意に至った。来年3月末までの売却の確度やメモリ事業の成長性などを勘案し、妥当と判断した」と株主に理解を求めた。

 続いて、株主から事前に書面で寄せられた質問に成毛康雄副社長が回答した。まず、経営危機に二度と陥らない対処という質問には「経営トップによる誤った経営方針を牽制(けんせい)するため、社外取締役によるチェック機能のほか、重要判断にはリスク分析評価を専門とする組織の評価を踏まえるなど、意思決定プロセスを見直している」と答えた。また、子会社のリスク情報についても「収集体制を強化し、モニタリングなどを行っている」と回答した。

 一方、原発事業から撤退するかとの問いには「原発はわが国の重要なエネルギー源であると理解している。メンテナンスや廃炉を中心に原発事業で社会的責任を引き続き果たす」と話した。

 7月から10月にかけて社内カンパニーを分社化したが、従業員の処遇については「従業員は転籍したが、労働契約は当社から新会社に継承されたので、従業員の労働条件に変更はない」と述べた。

 また、今後の人員削減の実施があるかどうかについても問いには「現時点で改めての削減は考えていない。従業員が一丸となって、グループの再生に取り組みたい」と回答した。

(2)綱川社長「人材流出起きているとは考えていない」 を読む

(3)「神戸製鋼からの購入1600品種」「現時点で安全性の問題はない」 を読む

(4完)独禁法クリア「必死に努力する」 を読む

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