神鋼は社会・顧客への責任第一に 不祥事を起こした企業に求められる4つの対応

Bizクリニック

 □広報ブレーン代表取締役・管野吉信

 神戸製鋼所の品質データ改竄(かいざん)問題が世を騒がせている。改竄はアルミ・銅製品をはじめ看板製品である線材にまで及ぶ。海外工場を含め10年も前から改竄していたという。2016年6月にグループ会社でステンレス製品の日本工業規格(JIS)違反が表面化した後も改竄は続き、日本のモノづくり産業全体の信頼が揺らぎかねない事態となった。こうした不祥事に直面したときに企業はガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)はもちろん企業文化・体質を問われる。重要なのは「事実確認」「原因究明」「対応策」「再発防止策」の4点を速やかに行って社会や顧客への被害を食い止め説明責任を果たすことだ。

 神戸製鋼は経済産業省の指示により、原因究明と全社的な再発防止策を17年11月12日までに取りまとめ、川崎博也会長兼社長が公表する予定になっている。川崎氏を委員長とする品質問題調査委員会が外部法律事務所に委任して調査を進める。併せて現在進行中の事実確認を終え、対象となる納入先企業約500社への対応策も明らかになるだろう。

 そこでポイントとなるのは、トップが社会と顧客の側に立ち、不正を生み出す企業風土や隠蔽(いんぺい)・偽装体質の“膿”を出し切れるかどうかだ。結果次第では、川崎氏が過去に部門長などとして関与した改竄事例が加わる可能性がある。委任する外部法律事務所はスポンサーである神戸製鋼に一定の配慮をするとみるのが自然だ。また、納入先企業への補償が巨額に上り、経営が悪化する公算が大きい。これらに対し川崎氏が神戸製鋼と自らの地位を守る態度を示せば顧客離れが加速する。

 筆者には前向きな広報だけでなく、不祥事をはじめとする後ろ向きの広報事案の相談が寄せられる。その際「公表を免れるには、どうすればいいか」「公表が免れないとしたら、どのタイミングで、誰が、どこで、どのように公表するか」を考え、アドバイスしている。判断は「当該企業が不祥事の主体となっているか」「社会や顧客に被害を与えているか」「現在進行形か」などによって異なる。最終的に企業を守るためのお手伝いをしている。

 例えば労働災害事故でも、身内の事故か、一般人を巻き込んでしまったかによって対応策は全く異なる。身内の事故であれば、通常は公表しない。一般人を死亡させてしまった事故では、事実確認、対応策と同時並行で速やかに公表すべきだ。この場合、原因究明と再発防止策は後回しで構わない。人命と2次災害の防止を最優先する。

 神戸製鋼は、現時点で信用は失墜していると見ざるを得ない。社会と顧客に与えた被害に対する責任を徹底して果たしていくことが、信頼回復への第一歩となる。

【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。

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