(2)綱川社長「人材流出起きているとは考えていない」

東芝臨時株主総会詳報
会場受付へ向かう株主ら=24日午前、千葉市美浜区 (川口良介撮影)

 会社側の説明は1時間18分で終わり、出席した株主との質疑応答が始まった。綱川智社長ら経営陣が、それぞれの質問に淡々と答えていく。

 --(男性)株式譲渡先だが、ベイン・キャピタルとHOYAの議決権株式の内訳は。東芝の議決権は何%を維持するのか

 成毛康雄副社長「ベインとSKハイニックスが49・9%。HOYAは9・9%出資し、東芝が40・2%。東芝とHOYAで全体の50・1%を保有する」

 --(男性)米ウェスチングハウスが原発建設会社S&Wをゼロ円で買収した結果、7千億円もの損失を被った。2015年1月の取締役会で資産査定が報告されたと思うが、どう対処したのか

 桜井直哉・上席常務(法務部担当)「米国での原発建設でかなりのコスト上昇が想定されていた中、電力会社から訴訟を起こされていた。工事の効率性が上がらなかった。S&Wは、単純に買収したわけではなく、電力会社から30億ドルの契約金上積みを頂けるなど諸々の付帯要素があった。実際の買収では専門家の資産査定を頂き、取締役会で決済を頂いた。さまざまな条件を念頭に入れて決議を頂いた次第だ」

 佐藤良二・監査委員会委員長「資産査定などの手続きは十分に成された、というのが監査委員会の意見だ」

 --(女性)「企業風土の改革」「風通しの良い会社」に改革する取り組みは、どこまで進んでいるのか。私は東芝に勤め、激務による鬱病を起こした。裁判では全面勝訴したが、職場復帰にどう取り組むのか

 牛尾文昭人・執行役専務(人事担当)「企業風土の改革は、着実に前進していると考えている。訴訟は東京高裁で昨年8月に完結したが、判決を受けて解雇を撤退し、同年9月末に損害賠償金を支払っている。現在は社会保険などの手続きがおおむね完了しており、職場復帰への話し合いを進めているところだと認識している」

 --(男性)東芝メモリを売却できなかった場合の代替案はあるのか。「WDの訴訟次第では手続きに悪影響が想定される」「成否は五分五分」だとも報じられている

 綱川社長「仮定の質問だが、環境変化に対してさまざまなことを想定しなくてはいけない。具体的に決めたことはなく、具体的なことは申し上げられないが、上場廃止を避けること、財務基盤を回復することに専念してまいりたい」

 --(男性)東芝から多くの社員が流出している。「風土改革」だけで再建・成長を果たせるのか

 豊原正恭・上席常務(経営企画担当)「従業員が働きやすい職場にする風土改革を進めていくが、一番重要なのは働きがいのある仕事、誇りを持てるかどうかだ。デジタル化とグローバル化の推進によって強い事業を育てることで、社員の誇り、やりがいを育みたい」

 綱川社長「人材流出が起きているとは考えていない。早く再生を果たすことが社長のつとめだと考えている」

 --(女性)今後の東芝の核となるビジネスは何か。知的財産の活用をビジネスにつなげるべきではないか。10年後に東芝はどんなポジションを目指すのか

 綱川社長「核となるのは『エネルギー』『メモリを除く半導体』『ITソリューション』であり、これらで伸びていく。われわれのミッション(使命)は社会の課題を一つずつ解決し、社会に価値を与える、社会の変化に貢献していくことだ」

 豊原常上席常務「当社はこれまで、ハードの品質によって成長を遂げてきたが、昨今のニーズはモノを使うことによって価値をどう高めるか、ランニングコストを含めた使用価値全般の向上だ。最新技術を駆使したデジタル化で新しい価値を提供することによって成長を遂げたい。IoTなどのIT技術をハードに付加する取り組みを現在400件ほど顧客と進めており、さらに広げていきたい」

 前田新造・取締役会議議長「現在、厳しい経営環境を一つずつクリアしている状況だ。東芝メモリの売却が完了すれば、軌道に乗ると思う。先程、綱川社長が『苦しさの先に明るい未来がある』というビジョンを示した。それを語り続けていくことが社員の結束力を高めるだろう。色々な経営資源の中で最重要なのは、『ヒト』だ。時にヒトをコストとしてみてしまうが、資産としてみるべきだ。これから社会インフラという新領域に乗り出していくので、株主の皆さんのご支援を頂きたい」

(1)半導体子会社の売却先 綱川社長「妥当と判断」 を読む

(3)「神戸製鋼からの購入1600品種」「現時点で安全性の問題はない」 を読む

(4完)独禁法クリア「必死に努力する」 を読む

Read more