東芝、屋台骨なき解体的再建 利益9割が半導体 投資・人材確保は困難に

 
東芝の臨時株主総会に向かう株主ら=24日、千葉市の幕張メッセ

 東芝が24日開催した臨時株主総会は、綱川智社長ら経営陣の大半の再任議案を可決、米ファンドなど「日米韓連合」への半導体子会社、東芝メモリの売却と6月の定時株主総会で報告できなかった2017年3月期決算も承認した。米原発事業での巨額損失に端を発した経営危機にようやく一つの区切りをつけた形だが、経営不安は依然、くすぶる。18年3月末の債務超過解消には不透明感が残るうえ、収益の大半を稼ぐ半導体メモリー事業を失い、「稼ぐ力」の低下も避けられない。解体的な出直しを迫られる東芝が、残された事業で再成長に向かう道のりは険しい。

 核は社会インフラ

 「社会インフラを核に収益基盤の強化と成長事業の育成を進める」

 経営の先行きを不安視する多くの株主を前に、綱川社長は総会で、東芝のこれからの姿をこう説明した。

 東芝は不正会計問題後に半導体と原子力発電事業を柱に据えた。だが、昨年12月に米原発子会社の巨額損失が表面化し、今年3月に経営破綻。損失を穴埋めするため東芝メモリも売却し再生シナリオは崩れた。

 東芝は現在、新たな中期計画の策定を急いでいる。収益を確保する新しい姿を早急に示さなければ、再生はおぼつかない。だが、約9割の利益を稼ぎ出す半導体メモリー事業を売却した後、来年度以降の収益の屋台骨は不在で、将来の展望を見いだしにくい。

 東芝は「社会インフラ」「エネルギー」「メモリーを除く半導体」「情報システム」の4事業に注力するが、中でも期待を寄せるのは、18年3月期に1兆2500億円と最大の売り上げ規模になる見通しの社会インフラ事業だ。国内で市場シェア3位のエレベーターなどのビル設備や上下水道の処理施設が主力製品。官公需が中心で一度受注すれば継続的な実入りが見込める手堅いビジネスだが、営業利益率は3%程度と伸び悩んでおり、いかに収益性を改善するかが課題だ。

 同事業は海外売上高比率が26%にとどまっており、海外市場の開拓が今後の鍵を握る。東芝はIoT(モノのインターネット)サービスなども含めたシステムで売り込み、収益性を高めたい考え。だが、日立製作所や米ゼネラル・エレクトリック(GE)なども注力する分野で世界的な競争環境は厳しく、思い通りに収益を伸ばせるかは未知数だ。

 切り売り重ね半減

 東芝は経営危機の度に有望事業を切り売りしてしのいだ結果、18年3月期の売上高は東芝メモリ分を差し引くと約3兆8000億円と、ピーク時の半分ほどに落ち込む見通しだ。規模の縮小は今後の投資などの足かせになる見通しで、人材の確保も困難になっている。解体が進む東芝の経営再建には、長い隘路(あいろ)が待ち受けていそうだ。(万福博之)

 ■東芝の事業分野別売上高

 (2017年3月期/2018年3月期予想)

 ・社会インフラ

 1兆2624/1兆2500

 ・半導体

 1兆7002/7561

 ・エネルギー

 9749/9200

 ・事務機器

 5077/5000

 ・情報システム

 2384/2500

 ・その他

 5301/5200

 ・合計

 4兆8708/3兆8061

 ※単位は億円。各分野の合算と合計は事業間の消去額があるため一致せず

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