記者が体験、AIスピーカー 「グーグルホーム」利用で気づいた重要ポイント

 
グーグルのAI搭載スピーカー「グーグルホーム」

 米グーグル日本法人が10月6日に発売した、対話型の人工知能(AI)搭載スピーカー「グーグルホーム」。消費者のニーズに応えるためには、機器の価格やAIの性能だけでなく、利用できるサービスの数や質といった「総合力」も重要になる。そこで、記者がグーグルホームの性能を試してみた。

 グーグルホームは直径10センチ、高さ14センチの円柱形で価格は1万4000円(税別)。土台部分はグレーで上部は白の洗練されたデザインだ。背部にマイクのオンオフ切り替えボタンが付いている。

 「ねえ」と呼びかけ

 自宅で使うためには無線LANを設置し、スマートフォンに「グーグルホーム」アプリをダウンロードする必要がある。

 指示を出すため、「オーケー、グーグル」か「ねえ、グーグル」と最初に呼びかける。

 すると「私はグーグルアシスタントです。よろしくお願いします」

 ちゃんと搭載されているAIの名称を名乗った。どんどん質問してみる。

 「(東京都千代田区)大手町までの行き方は」

 「大手町までは首都高速○○線が最適ルートです。渋滞がない場合、所要時間は約30分です」

 「電車での行き方は」と聞き方を変えてみると、最寄り駅までの時間や乗り継ぎが必要と教えてくれた。ただ、どの駅で乗り換えるかまでは教えてくれなかったのが少し残念だ。

 それでも音声の認識度はかなり高い。就寝前、横になったままアラームのセットをお願いしたが、翌朝ちゃんとアラームが鳴ったし、家族が家を歩き回ったり、水道を使ったりする音が聞こえる中でも、グーグルアシスタントは記者の声をきっちり聞き取っていた。

 あいまい曲名でも

 定額制音楽配信サービス「グーグルプレイミュージック」などのアプリと連携しており、音楽再生も大きな売りだ。

 「寅さんのテーマソングをかけて」

 「『男はつらいよ』の渥美清ですね。再生します」

 正式な曲名を指示しなくても、ちゃんと想定していた曲が流れ、検索精度の高さを実感した。ほかにもリクエストすると次々に音楽が再生され、重低音の音質もかなりいいことが分かった。

 記者がグーグルアシスタントとやりとりしていると、家族からグーグルホームの声がテレビ東京の人気紀行バラエティー番組「モヤモヤさまぁ~ず2」のナレーションに似ていると指摘された。なめらかだが、人間とは少し違う不思議な抑揚の声。実はモヤさまのナレーションも合成音声だ。確かに似ている。ここでもう一つ質問してみる。

 「『モヤモヤさまぁ~ず2』って何?」

 するとネット上の無料の百科事典「ウィキペディア」を引用する形で、番組の概要を教えてくれた。

 ふざけて「夜中にラーメン食べてもいい?」と聞いてみると、「7キロメートル内に10軒見つかりました」とちょっとかみ合わない答えも。固有名詞が含まれるやりとりは、機械音声独特のなまりがあり、少し聞き取りづらい。

 一方、NHKなどと連携しており、最新のニュースをリクエストすると直近のNHKのラジオニュースを聞くことができる。これは朝出かける前の慌ただしい時間に使うとかなり便利な機能だと感じた。

 タイマーも声でセットできるし、「1カップは何ミリリットルか」ぱっと分からないときに声だけで検索できる。

 こうした点は、台所に立っているとかなり重宝しそうだ。料理の手を止めて、ぬれた手でスマホを操作すると反応しなくてイライラするのを防げるからだ。

 「恥ずかしい」7割

 これまでスマホの音声検索機能は全く使ったことがなかった。機械に話しかけるという行為が何となく気恥ずかしく、指でスマホを操作することで事足りていたからだ。

 同様に感じる人は多いようで、KDDIが実施した意識調査では、「人前での音声検索は恥ずかしい」と感じる割合は7割超に上るとの結果が出ている。だが、今回グーグルホームを使ってみて機械に話しかけることに少しずつ慣れ、場面によっては、スマホを操作するより、音声検索や音声指示の方が便利だとかなり実感した。

 固有名詞を含む複雑な情報については、まだまだインターネットやスマホの文字の方がAIは認識しやすいようだ。しかし、AIスピーカーとの会話がより自然になれば生活が便利になり、普及が進むと感じた。

 また、AIスピーカーはネットに接続しており、外部の機器やサービスとの連携も可能になる。グーグルホームは専用の電球を設置すれば、音声で指示するだけで照明をつけたり消したりできる。ロボット掃除機「ルンバ」も操作できるようになる予定だが、冷蔵庫や洗濯機のような「白物家電」の多くとは現時点では連携していない。

 ライバルの実力は

 ライバルはどうか。無料通信アプリを手がけるLINE(ライン)が10月5日に投入した「クローバウェーブ」の価格はグーグルホームと同じ1万4000円だが、こちらは税込みのため、やや割安感がある。

 スマホアプリのLINEと連携したサービスが特徴で、「パパに『早く帰ってきて』とLINEして」と話しかけると、登録した相手のLINEアプリにメッセージが送られる。食べ物宅配やタクシー配車など既にLINEアプリで実施しているサービスにも年末から対応する予定だ。

 アマゾンジャパンは、米国で最も普及が進んでいるAIスピーカー「アマゾンエコー」(価格未定)を年内に国内で発売し、各企業との連携サービスを始める。

 ソニーも12月9日、「LF-S50G」を発売する。市場想定価格は2万7000円前後。グーグル製のAIを搭載し、話し掛けると天気やニュースなどの情報を提供してくれるほか、テレビや音響機器などを操作できる。音響技術を生かし、360度に音楽が広がるように工夫した。

 AIスピーカーの顧客争奪戦を制するには、AIそのものの性能向上と外部企業との連携が欠かせない。各社の開発競争と取引先の囲い込みは、ますます激化しそうだ。(西岡瑞穂)

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