上場企業、中間決算で最高益続出 内部留保拡大で賃上げ関心

 

 上場企業の2017年9月中間決算が絶好調だ。海外経済の持ち直しを背景に過去最高益が続出。株価は大きく上昇し、アベノミクスの加速を目指す第4次安倍内閣は、経済的には追い風の中でスタートした。企業には「もうけ過ぎ」批判が高まっており、今後は賃上げが関心事となる。

 ◆中国、ロボット爆買い

 2日の東京株式市場の日経平均株価は終値で2万2539円とバブル崩壊後の最高値に迫り、東証1部の時価総額は660兆円を超えて過去最大に膨らんだ。株価は好業績を織り込み10月以降は上げ基調が続き、市場は高揚感に包まれている。

 「工場自動化システムは年内高水準の受注となりそうだ」。中間決算で最終利益が過去最高となった三菱電機の松山彰宏取締役からは景気の良い言葉が飛び出した。

 人件費が高騰する中国がロボットを「爆買い」しており、日本に注文が殺到しているという。日本工作機械工業会によると、1~9月期の中国からの工作機械受注額は前年同期から倍増した。

 半導体が好調なソニーは18年3月期の最終利益が10年ぶりに過去最高となる見通しで「強いソニーが帰ってきた」と久々に評価が高まっている。

 格安スマートフォン企業との競争激化で減益だったNTTドコモや、人手不足で人件費がかさみ赤字に転落したヤマトホールディングスなど個別には不振も見られるものの全体的には上向きだ。

 ◆水差す不祥事相次ぐ

 だが一方で、快調にブレーキをかけかねない不祥事が製造業で相次いでいる。データ改竄(かいざん)問題が発覚した神戸製鋼所は業績への影響が見極められないとして通期の利益予想を示さなかった。

 無資格検査問題を起こした日産自動車とSUBARU(スバル)も販売への悪影響は避けられない。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは「格付けへの影響を考慮することになる」と警告する。

 神鋼をめぐっては欧州連合(EU)の航空当局が調達を控えるよう勧告するなど影響が世界的に拡大。3社の不祥事は日本企業全体の信用問題に波及するリスクをはらむ。

 日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は「何十年も不正行為を続け、極めて由々しい問題だ」と市場の活気に水を差す3社にいら立ちをあらわにした。

 「株式市場で運用する年金の資産が増えた」。衆院選で安倍晋三首相はアベノミクスによる株高効果をアピール。市場の一部には「年末には株価が2万5000円に達する」との声も出始めた。

 日本では緩和的な金融環境が続くとの見方から世界の投資マネーが日本株に集中する。日銀も日本株の上場投資信託(ETF)を年6兆円購入し市場を支える。

 民間シンクタンク各社の予想によると、7~9月期の実質国内総生産(GDP)は7四半期連続でプラス成長となる公算が大きい。日本は戦後2番目の景気拡大期に入っている可能性が高い。

 金融・保険業を除く全産業で16年度の企業の内部留保に当たる利益剰余金は過去最高の約406兆円に達した。これには専門家からも「さすがに高水準だ」(ニッセイ基礎研究所の櫨(はじ)浩一専務理事)との声が上がる。

 消費を喚起しデフレ脱却を成し遂げたい安倍首相は、先月26日の経済財政諮問会議で3%の賃上げを求めた。利益配分への要請に経済界はどう向き合うか。企業の振る舞いが問われている。

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