トラックにもEVシフトの波 日本3社、米中攻勢に対抗 今後の課題は?

 
三菱ふそうトラック・バスが出展した世界初の量産EVトラック「eキャンター」=10月30日、東京都江東区

 ガソリン車から電気自動車(EV)への転換を目指す「EVシフト」の波が、トラックにも押し寄せている。5日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた東京モーターショーで、商用車メーカー各社は走行中に温室効果ガスを排出せず排気音もないEVトラックをアピールした。今後、市街地の近距離配送を中心にEVの導入が進む見通しで、競争が激化しそうだ。

 新ブランド・モデル

 「数年以内にトラックとバスの全車種に電動化モデルを導入する」。10月25日、東京モーターショーの開幕に先立って報道陣に公開された三菱ふそうトラック・バスのブース。同社のマーク・リストセーヤ社長は、試作したEV大型トラックの運転席から登場し、電動化で先駆者となる決意を示した。

 同社は、電気商用車ブランド「E-FUSO」も発表。来年のEVトラックの販売比率は約1%となる見込みで、2022年をめどに25%に高める目標も掲げた。会場で注目を集めたのは、今夏、同社の川崎市とポルトガルの2工場で量産を始めたEV小型トラック「eキャンター」。親会社の独ダイムラーとモーターやバッテリーを共有し量産化した。車両総重量は7.5トンクラスで、1時間半の急速充電で航続距離は100キロ以上。国内ではセブン-イレブン・ジャパンとヤマト運輸がそれぞれ25台の導入を決め、11月以降、商品や宅配便の配送用として順次配備する。

 いすゞ自動車は、小型トラック「エルフ」を電動化した参考出品車「エルフEV」を披露。片山正則社長は、来年からのエルフEVの試験運用で知見を蓄積し、「経済性と使い勝手の良さを兼ね備えたEVを造る」と高らかに宣言。小口配送やゴミ収集での利用拡大を狙う。

 一方、EV以外にも視野を広げ、市場がどちらに振れても二酸化炭素(CO2)の削減要求に応えられるのが日野自動車だ。同社は、25年以上にわたるハイブリッド商用車の運用で磨いた電気でモーターを動かす基盤技術を、EVや水素で走る燃料電池車(FCV)などに応用している。

 課題は航続距離

 ただ、EV普及をめぐっては、充電設備が十分に整っておらず、航続距離も問題だ。いすゞが開発したエルフEVの航続距離も近隣の配送や集荷のニーズに応えられる100キロ以上だが、都市間の長距離輸送には物足りない。しかし、搭載するバッテリーを増やして航続距離を伸ばそうとすると、積載量が減ってしまう。

 このため各社は、課題解決に向けた戦略を進める。ダイムラーは、ベンチャー企業などとも連携。今秋には、急速充電技術の開発を加速するため、バッテリー関連技術を手掛けるイスラエルのストアドットへの出資を決めた。

 日野の下義生社長は1日の決算説明会で、トヨタ自動車とマツダ、デンソーが共同出資で設立したEV技術開発の新会社への参加について前向きに検討する意向を明らかにした。下社長は「EVは適正なコストと価格にしないと広がらない」と指摘。その上で、「収益源になるまでに相当の時間がかかるが、遅れることのないように対応する」と力を込めた。

 各社がEV化の転換点を強く意識する背景には、海外勢の攻勢がある。米EVメーカーのテスラが同社初の商用車となるトラックを発表すると9月に表明したほか、国策としてEVなどの「新エネルギー車」の製造・普及を促す中国でも、自動車メーカーの比亜迪(BYD)がEV商用車の事業拡大を狙う。(臼井慎太郎)

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