インヴァランス AIシステム導入マンション(上)

家電Watch
キャスパーを備えたマンション室内。キャスパーはカーテンの開閉や、照明のオンオフなど日常的な動作を人の動きを検知し判断して自動で行う

 ■暮らしを学習 全て音声操作

 米グーグルやLINE(ライン)のスマートスピーカーが注目を集めている。スマートスピーカーは、言葉で指示するだけでさまざまなことが可能になる。確かに魅力的だが、実際に使われている家電製品と、どう連携させて、どう便利に使っていくのか。さまざまな課題があり、一般家庭で普及するのは、まだ少し先になりそうだ。

 そんななか、AI(人工知能)スピーカーをマンションの備品にする取り組みが始まっている。照明やカーテンの操作が音声で全てできる。この機能を持つマンションを手掛けるのが、不動産開発のインヴァランス(東京都渋谷区)だ。

 ◆不動産価値が向上

 同社は、主に投資用マンションを手掛ける。これまでに96棟を提供している。マンションの不動産価値を高めるための手段の一つとして、スマートホーム化を積極的に進めてきた。あらゆるモノがインターネットにつながるIoT事業への将来的な参入を視野に、システム開発を2016年以前から推進し、自社開発のスマートアプリ「alyssa.(アリッサ)」を自社ブランドのマンションで既に実用化している。

 同社の小暮学代表取締役は、アプリ開発の理由についてこう語る。「スマートホームは数年前から話題になっているが、なかなか進まない現状にジレンマを抱えていた。今の製品はメーカーごとにばらばらのシステムやアプリを使っている。統一性がなければ不便で普及も進まない」

 また、小暮氏はスマートホームに関して「暮らしや家に導入するものであり、家電製品に導入するものではない。その点、家のことを一番よく知っているのはわれわれ不動産開発者だ」と自負する。

 現状では、製品ごとのネット化は進んでいるものの、横の連携はまだ進んでいない。このため、家のことをよく知る同社はスマートホームの開発を自然な流れで開始したという。

 「1つの製品で、家庭内のさまざまな機器を操作するためには、技術的な問題だけでなく、法律面や安全性など、さまざまな問題が生じる。それらの問題を解決するためには、不動産のノウハウやデベロッパーとしての知識が不可欠」(小暮氏)

 アリッサを導入したマンションは、室内照明、床暖房、鍵、エアコン、風呂の操作が可能となる。これまで500戸に導入実績があり、アプリをダウンロードした人の92%がこのシステムを日常的に使っているという。

 ◆米開発企業と提携

 「予想以上に多くの人がアリッサを便利に使っている。スマートホームにさらに投資すべきだ」。そう感じた小暮氏は、世界のスマートホームのトレンドを注視するようになった。

 「米ラスベガスで毎年行われている家電製品見本市『CES』や、台湾の展示会、米シリコンバレーなどにも自ら足を運び、さまざまな技術を見てきた。その中で特に相乗効果があると感じて出資を決めたのが、スマートホームシステム『CASPAR(キャスパー)』を開発した米AI開発ベンチャーのBrain of Things(BoT)だ」(小暮氏)

 キャスパーは、100以上のセンサーで構成されるシステムだ。温度、湿度、照度、振動などを感知するほか、カメラ機能も備え、利用者の動きを常に検知する。センサーは、玄関やキッチン、トイレ、浴室、寝室に至るまで家の中のさまざまな場所に張り巡らされ、利用者の生活を学習していくという。

 キャスパーは、インヴァランスが販売しているマンション「LUXUDEAR高輪(ラグディアタカナワ)」(東京都港区)に導入されている。このマンションは、カーテンの開閉、照明の点灯・消灯と明るさの調整、鍵の施錠、浴槽の湯はり、エアコンと床暖房のスイッチを遠隔操作できる。

 BoTのアシュトシュ・サクセナ社長はキャスパーについてこう語った。「従来のスマートホームとは違う次元でスマートホームを体感できる。各家電製品のIoTを別々に考えるのではなく、全部を統一して生活者に利便性を提供する。家が生活者のことを学習して適応していくという、これまでにない体験ができる」(インプレスウオッチ)

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