通商問題、米国は貿易赤字削減要求でアピール 日本は圧力回避へTPPに全力

トランプ氏来日
共同記者会見を終え、米国のトランプ大統領(左)と握手する安倍晋三首相=6日午後、東京都港区の迎賓館(代表撮影)

 トランプ米大統領は6日、安倍晋三首相と東京都内で共同記者会見し、対日貿易赤字の削減を求めた。来年11月の米中間選挙を控え、産業界にアピールする狙いがあるとみられるが、日米自由貿易協定(FTA)には言及しなかった。日本は米国の直接的な圧力を回避したことで、8日にベトナムで開幕する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国の交渉の大筋合意に全力を尽くす。

 「慢性的な貿易の不均衡を是正しなければいけない」。日米の貿易不均衡について、共同会見ではこう述べるにとどめたトランプ氏だが、これに先立ち日米企業トップらを前に行った演説では「日本との貿易は公正でも開放的でもない」と指摘、日米FTAも視野に交渉の必要性を訴えた。

 共同会見などで日米FTAに言及しなかったのは、優先課題とする北米自由貿易協定(NAFTA)の協議が遅れ、妥結は年越しが確実な状況だからだ。米中間選挙が1年後に迫る中、NAFTAや、再交渉で合意した米韓FTAを優先し、日本が警戒する日米FTAは先送りした格好だ。

 それでも、訪日には強硬派として知られる米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が同行。ライトハイザー氏は訪日前に米テレビ番組で日本などの貿易赤字に対し「深刻な懸念を抱いている」と厳しい姿勢を示しており、トランプ氏の「本音」を代弁する布陣を敷き、無言の圧力をかけることは忘れなかった。

 一方、日本はTPP11カ国の交渉を早期に取りまとめ、離脱した米国の復帰を促す戦略を描く。多国間の枠組みで先にルールを固め、米国の圧力を和らげる狙いだ。安倍首相は共同会見で、「トランプ氏と2国間貿易のみならず、アジア・太平洋地域に広がる貿易・投資の高い基準作りを主導する」と呼びかけた。

 TPP11カ国の閣僚会合は米国の復帰まで協定の一部を棚上げする「凍結項目」の選定を政治決着させ、続く首脳会合で大筋合意を報告する方針。日本は凍結項目を最小限にとどめたい考えだが、各国の主張には依然として溝が残る。

 閣僚会合に出席する茂木敏充経済再生担当相は6日、記者団に、ベトナムから日本が共同議長国を要請されたことを明らかにし「参加国からの修正要求は基本的にはない。全力で頑張る」と早期の大筋合意に意欲を示した。(高木克聡、ワシントン 塩原永久)

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