エアークローゼット、洋服レンタルで物流管理効率化 寺田倉庫との協業奏功

 
レンタルボックスを手にするエアークローゼットの天沼聰社長=東京都港区

 斬新なアイデアを基に新事業を展開するベンチャー企業。ただ、アイデアを形にするには実証テストなども必要だが、ベンチャー企業単独では、容易ではない。それを外部との協業で乗り切ったベンチャー企業の一つが、ファッションレンタルサービスを手掛けるエアークローゼット(東京都港区)だ。実はこのサービス、倉庫業大手の寺田倉庫(同品川区)の「minikura(ミニクラ)」をベースとして始まった。

 ◆2年半で会員14万人

 当初、「エアークローゼット」は月額6800円で、プロのスタイリストが選んだ洋服3点が送られてくるサービスだった。現在は、借り放題プラン(9800円)と月1回プラン(6800円)から選べる月額制となっている。

 2015年2月3日のサービス開始から2年半が過ぎたが、会員数は約14万人超と「開始時の想定を大きく上回っている」(同社)という。両社を引き合わせたのが、11年11月から創業支援施設を運営するサムライインキュベート(同品川区)だった。

 寺田倉庫のminikuraはホームページで利用を申し込むと専用の梱包(こんぽう)用品が送られ、そこに預けたい物を詰めて同社に返送する。同社は開封して箱に入っている物を撮影し、ホームページに掲載する。わざわざトランクルームを借りて荷物を持ち込む必要もなく、預けた物を忘れないのが特徴だ。

 寺田倉庫は13年、このminikuraを1つのパッケージとして外販する方針を打ち出し、大手企業との交渉に乗り出した。だが、その道のりは平坦(へいたん)ではなかった。新規事業の決裁に時間がかかる大手ならではの事情に加え、「荷物を預けるサービスそのものが下請けと見られがち」(月森正憲上席執行役員)なことも原因だった。そんな中で、寺田倉庫はサムライインキュベートを通じて、スタートアップのエアークローゼットの存在を知る。

 ◆早期ビジネス実現

 一方、エアークローゼットもサービス開始以降、急速に事業をスケールアップさせるため、物流管理の対応強化などに取り組んでいた。そんなタイミングで、寺田倉庫がminikuraのビジネスパートナーを探していることを知った。

 創業間もないベンチャー企業にとって、土地や建物といった不動産契約はハードルが高い。寺田倉庫の持つインフラを活用できれば早くビジネスを軌道に乗せられると判断。天沼聰社長は、直ちに寺田倉庫側に、minikuraを活用したファッションビジネスを提案する電子メールを送った。

 寺田倉庫の月森上席執行役員はそのメールを見た瞬間、「とても斬新だ」と判断。すぐ天沼社長に来てもらった。約1時間の話し合いですっかり意気投合し、一気に業務提携へと突き進んだ。

 寺田倉庫は創業60年以上の会社だが、倉庫業としては後発組だ。minikuraも競争が厳しいトランクルーム市場のなかで、新たな付加価値サービスを、との考えから生まれた。

 天沼社長は「ベンチャー企業ならではのスピード感を理解してくれた」と寺田倉庫の姿勢を評価する。大手企業と下請けといった力関係ではなく、対等なビジネスパートナーという意識が、協業の成功につながった。

Read more