記事の無断貼り付けは違法行為

Bizクリニック

 □広報ブレーン代表取締役・管野吉信

 世の中、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がはやる。新聞や雑誌の記事をスマートフォンで撮影し、それを貼り付けて「新聞に掲載されました」などと発信するケースが非常に多い。テレビ番組でも自社紹介部分を録画し、気軽に発信している。でもちょっと待ってほしい。メディアから記事(番組)利用許諾を得ないと「それって違法行為ですよ!」。

 メディアの制作物には著作権がある。新聞や雑誌を例にとると文章はもちろん、記事の割り付け、見出し、写真、図版が著作権の対象となる。このためメディアではニュースサイトなどで記事の利用許諾を呼び掛けている。「Sankei Biz」ではページ下の「知的財産ポリシー」をクリックすると、ページ右に「記事使用について」がある。許諾料はコピー枚数、ウェブでの活用の有無などによって異なるが、おおむね各社とも2万円前後。コンプライアンス(法令順守)が叫ばれる中、2万円で「コンプライアンスがしっかりしている企業」をアピールできれば、ブランド戦略上安いコストではないか。逆にそれをけちると、多くの人に「コンプライアンスがなっていない企業」と思われる。しかも、指摘されることなく、じわじわとブランドイメージをむしばむので要注意だ。

 とはいえ中小企業にとって2万円は大きく、出費はできれば避けたい。そこで裏技を紹介しよう。それは「〇〇新聞の〇日付に、〇〇が掲載されました」と掲載の事実だけをホームページのニュース一覧などで報告し、詳しい中身はニュースリリースを活用することだ。その際、著作権の対象である見出しや記事の一部転載は避ける。メディアのニュースサイトで紹介されていればリンクを貼り付けてもよい。ウェブ上の記事利用許諾は発生せず記事コピーの許諾だけになるので安く済む。

 記事利用許諾にメリハリをつけ、自社にとって重要な記事だけに限って許諾を得る手もある。ホームページのニュース一覧をクリックすると、同じ新聞掲載事例でも、一部はニュースリリースで紹介し、一部は許諾を得た記事がそのまま出てくるようにする。なお利用許諾を得た記事は必ず「媒体名、日付、利用許諾済みであること」を明記する。そうすることによって、リリース、コンプライアンスの両方ともしっかりしている企業であることを印象付けられる。

 インターネット上にニュースがあふれかえる時代になり、活字メディアは部数減に見舞われ、苦戦している。しかし、多くの記者を抱える活字メディアが1次コンテンツ(最初の情報)を支えていることを忘れてはいけない。活字メディアが元気を失えば、中小企業報道はますますしぼむ。中小企業は自らのためにも、著作権法を守ろう。

【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。

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