「ミシュランガイド」で本業タイヤのブランド力向上 「桁外れの武器」

提供:ブルームバーグ
昨年9月、シンガポールで行われたミシュラン・ガイドの授賞式(ブルームバーグ)

 アジア事業拡大で低価格の中国製タイヤとの競争激化に直面するフランスのミシュランが、ブランドイメージ向上に向け高級レストランガイドの拡充を進めている。アジアでの自社ブランドの魅力を高める幅広い取り組みの一環として、12月に自社の名前を冠したレストランガイドのバンコク版を発表する。

 ライバルに対抗

 同社は7月に米国のワイン格付け会社ロバート・パーカーに40%出資。シンガポールや香港、マカオなどで試飲イベントを開催しており、これらの地域についてミシュランも既にレストランガイドを発行している。

 おいしい鶏肉のワイン煮を提供する高級レストラン探しとタイヤ販売とはほとんど関係ないように見えるが、ミシュランは中国の山東玲瓏輪胎や風神輪胎に対抗する際に、自社ブランドを高品質と位置付ける上でレストランガイドが役立つと期待している。

 アンリ最高財務責任者(CFO)は7日までにインタビューに応じ、「このガイドは成熟国での当社のブランドイメージの一翼を担っている。初めて車を買う人が増えている新興国でこのブランドの魅力を多少再現できるとみている」と語った。

 アジアでの事業拡大はミシュランの欧米依存度を低くすることに貢献しそうだ。同社は売上高の4分の3以上を欧米市場に依存している。

 「レッドガイド」と呼ばれるレストランガイドは同社を創業したアンドレとエドゥアールのミシュラン兄弟が1900年に創刊。自動車が一般的でなかった時代に、このガイド本は遠くまでドライブしてレストランで食事をしたりホテルに泊まったりすることへの動機付けに一役買った。

 同社の評価担当者は創造性や質、サービスに基づいて星を付与。それぞれ三つ星は料理が芸術の域にあり、長距離を移動してでも訪れる価値があることを、二つ星は秀逸であり、遠回りしてでも訪れる価値があることを、一つ星は同じカテゴリーのレストランでは最高級の素材や風味を提供する優れた店であることを意味している。

 ライバルのレストランガイド本「ルベイ」を担当しているピエール・イブ・シュパン氏は、ミシュランのガイド本がなお外食産業の指標であると認める。ミシュランによると、レストランは最初の星を獲得することで、売り上げを倍増させることもできるという。

 ミシュランはすでに米国でニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントンではレストランの格付けを行っているが、その他の米国の都市にも目を向けている。レッドガイドは26カ国を調査対象としているが、2016年時点で10億ユーロ(約1320億円)だったガイド本関連サービスの売り上げを20年までに倍増させるという目標に向け、対象地域をさらに拡大する。同社の昨年の総売上高は209億ユーロだった。

 桁外れの武器

 同社はタイヤ業界での競争激化で、フランス国内で21年までに2000人を削減するというリストラを進める中でさえ、ガイド本事業への投資を続けている。ジャン=ドミニク・スナール最高経営責任者(CEO)はガイドと地図事業で構成するミシュラン・トラベル・パートナー部門の収益体質強化を目指している。同CEOは同部門の本部をパリから郊外に移転させるとともに、人員も削減した。同社は同部門の売り上げは明らかにしていないものの、昨年の売り上げは急増したとしている。

 同事業を統括するクレア・ドーランド・クラウゼル上級副社長は、イェルプやトリップアドバイザーといった格付けアプリも脅威にはなっていないと説明する。格付けスタッフが利害関係者から独立していることに加え、身分を隠して料理の代金を払っていることが理由だという。

 同副社長は「ミシュランガイドは当社のブランドにとって桁外れの武器だ。タイヤと同じだけ、われわれのDNAに組み込まれている」と話した。(ブルームバーグ Ania Nussbaum)

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