空の安全確保、JUTMが運行管理実験

ドローンタイムズ
無人ヘリより先に着陸が許可された日本郵便のドローン。今回の実験は一般の住宅も多くある地区で行われた

 ■ドクターヘリ飛来、災害時など想定

 ◆住宅地含むエリアで

 たくさんのドローンが空を飛ぶ時代の到来を見据え、衝突が起こらないように管理する運行管理システムを研究する一般社団法人綜合研究奨励会・日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)は10月26日、福島県南相馬市で、実際に複数のドローンを飛ばすなどして、システムの運用を試す実証実験を実施した。実験には36の企業・団体が参加し、本部に管制センターが置かれたり、ドクターヘリの飛来も想定したりと、大規模な実験となった。

 実験はJUTMが主催し、福島県、同県南相馬市、同県浪江町が共催し、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が後援した。実験当日の前々日から現地の準備を進め、実験本番まで約150のフライトを重ねた。実験は「人とドローンが共生する未来社会の実現に向けて~空域・電波管理によるドローン活用社会と減災計画」と名付けられ、福島県環境創造センター環境放射線センターを拠点に、近隣の住宅地も含む広い範囲で行われた。

 実験では、無人ヘリコプターとドローンがほぼ同時に、離着陸するための施設、ドローンポートに接近し、トラブルを回避する方法を試した。一足早くポートに近付いたヘリが、管制センターに着陸許可を申請した。

 管制センターは、先行機を優先する原則に従い、ヘリに着陸許可を出すこともできたが、後からポートに接近し着陸要請を出したドローンは、上空で待機し続けるためにはバッテリーの余力が乏しいと判断、ドローンに先に着陸許可を出し、ヘリにはその間、上空での待機を要請した。

 ◆トラブル回避を確認

 管制センターの要請通り、ドローンが先にポートに着陸して積んでいた荷物をおろした。ドローンがその場を去った後、待機していたヘリがポートを利用することになり、この事例では、トラブルが回避できることを確認した。

 複数のドローンが飛ぶことを想定した空の交通安全である空域の管理方法については、「飛行計画管理」「動態管理」など複数の原則がある。計画管理には、事業者がドローンの飛行を予定している空域を事前に予約する「空域予約」という考え方があり、これに従えば、予約した事業者が予約した時間帯に、予約したエリアを飛ばせる。

 ただし、エリアが予約されることは、他の事業者の利用を妨げることになり、その不都合を極力小さくする工夫が、同時に求められる。とりわけドローンポートについては、利用の要請が集中する可能性が高い。そのため、ドローンポートについては、予約事業者の離着陸が済めば、一定の距離、時間をおいて、他の事業者にも利用を開放する方法が検討されている。この日のヘリとドローンの同時着陸要請には、その場合のトラブル回避を検証する意味があった。

 パイロットが操縦するドクターヘリが緊急な事情で飛来する事態も想定した。実験では、ドクターヘリは、飛行情報の信号を発しながら飛行。ドクターヘリの信号は管制センターのディスプレーに表示される。表示を確認すると、管制センターは該当空域を飛んでいるドローンに着陸を要請。ドローンは要請に従って着陸し、ドクターヘリに空域を譲った。

 この日はいくつかの事態を想定した実験を実施しており、大地震の発生時や、個人宅への宅配実験、気象情報の伝達実験、画像伝送の実験なども行った。

 ◆自治体や住民も参加

 市街地も含め、自治体、住民も参加しての運行管理実験は世界的にも例がないという。JUTMは今後、関連する学会や国際民間航空機関(ICAO)の会合で発表する予定だ。運行管理の国際的な組織、グローバルUTMアソシエーションからも報告要請があるという。

 JUTM事務局次長の中村裕子東大特任准教授は「実験によって課題が得られたことは大きい。多くの企業がこの実験のために集まった事実にも意味と価値がある」と述べた。

 JUTMの鈴木真二代表は、「空の安全確保には情報確保が欠かせない。ドローンのIT化の推進と、信頼性の高いネットワークの構築が急務だ。今回の実験で多くのデータと知見が集まった。これらを分析し、研究開発を進めたい」と、さらなる技術開発に意欲を示した。

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