トヨタ、成長持続へEV開発本腰 先行・日産失速、出遅れ挽回狙う

 

 通期決算で増益転換を見込むトヨタ自動車が電気自動車(EV)開発に本腰を入れ始めた。排ガス規制への対応に加え、成長の持続に不可欠とみているためだ。先行する日産自動車が無資格検査問題で失速し、業界の盟主は出遅れ挽回を狙う。

 業績見通しを上方修正した7日の決算発表の記者会見で、トヨタの永田理副社長は「先端技術を製品化するための原資を今のうちに稼ぐ」と述べ、EVをはじめとする技術開発に意欲を示した。この日は東京株式市場の日経平均株価が約26年ぶりの高値を付け、業績改善期待からトヨタ株も上り調子が続いている。

 ただトヨタは、次世代の環境対応車の主役となるEVの本格販売に至っていない。豊田章男社長は9月に開かれた機関投資家向けの経営説明会で、EV開発をめぐり「誰が最初に投入するかより、誰がベストなものを造るかだ」と強調し、出遅れ批判の火消しを図った。

 英国やフランスがガソリン車とディーゼル車の廃止に向けた検討に入り、欧米では自動車メーカーだけでなく異業種も参入してEV開発競争が激化している。

 欧州に続き環境対応車の普及を加速する中国も国策としてEV開発を推し進める。

 一方、日本では10月に社運を懸けてEV新型車「リーフ」を発売した日産が、国の規定に反した新車の無資格検査が明らかになり大きくつまずいた。SUBARU(スバル)でも問題が発覚し、国内自動車業界のイメージは悪化している。

 巻き返しを狙うトヨタは、資本提携したマツダやグループのデンソーとEVの基盤技術を開発する新会社を9月に設立した。2020年ごろの市販車発売を目指し、他の日本メーカーにも参画を呼び掛けている。スズキの鈴木俊宏社長は「チームジャパンで考えないと海外勢に対抗するのは難しい」と前向きに検討する考えを表明。資本関係があるスバルも合流を模索している。

 トヨタには20年前に発売したハイブリッド車(HV)「プリウス」の開発を通して得た電池に関する知見がある。EVの走行距離を伸ばし、充電時間を大幅に短縮できるとされる「全固体電池」の実用化を急いでいる。

 SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、EVはエンジン車に比べ扱う部品が減るため雇用が縮小するとみる。「巨大グループのトヨタにとってEV開発を本格的に進めるべきなのかどうか、まだ判断できない状況なのではないか」と盟主の迷いを指摘する。

Read more