東芝、綱渡りのメモリ売却 つなぎ資金調達にも懸念 再建の道筋依然見えず

 
決算会見する東芝の平田政善専務=9日午後、東京都港区の東芝本社(佐藤徳昭撮影)

 東芝の上場維持は、なお予断を許さない。半導体子会社「東芝メモリ」を来年3月末までに売却し、債務超過を解消する計画だが、間に合う保証はないからだ。売却が完了しなければ債務超過を穴埋めする「つなぎ」の資金が必要になるが、調達を実現するハードルは高い。

 「ワーキンググループで、いろんな手法を検討している」。平田政善代表執行役専務は9日の記者会見で、資金調達の具体的な代替案には触れなかった。

 東芝は、投資ファンドの米ベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に東芝メモリを2兆円で売却するが、計画通りに完了するには各国の独占禁止法の審査を通過する必要がある。期間は半年が目安で9月末に審査を申請したが、厳しい中国当局などが少しでも延ばせば不可能だ。

 協業する米ウエスタンデジタル(WD)は東芝メモリの売却差し止めを求めて提訴しており、裁判所の判断次第でも売却手続きが止まる可能性がある。

 ただ、売却できなかった場合のつなぎ資金の確保は困難な状況だ。まとまった資金を捻出できる事業や資産の売却などの手段は、もはや残されていない。

 東芝株は10月に東京証券取引所が内部管理体制に問題があるとして指定していた「特設注意市場銘柄」を解除され、公募増資など市場から資金調達が可能になった。それでも、東芝メモリ売却で収益力の落ちる東芝本体への投資は魅力に乏しく「資金は集まらない」と関係者は口をそろえる。

 金融機関の支援も見通せない。銀行団が債務超過の東芝に融資を続けているのは、東芝メモリの売却による資金の返済を前提としている。投資情報サービス会社ナビゲータープラットフォームの和泉美治アナリストは「銀行が売却前に追加で資金を入れるかは不透明だ」と指摘する。

 こうした状況を踏まえると、有力なのはベインの支援だろう。ベインは東芝メモリの株主として、東芝本体への出資や融資などの支援に前向きとみられる。

 しかし、銀行やファンドから支援を受けるにしても、見通せない独禁法審査の終了まで継続してもらえるかどうかに疑問は残る。BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「時限的な措置にならざるを得ないだろう」と見る。東芝の再建への不安は、依然として晴れそうにない。(万福博之)

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