事業部門制が裏目に 「本社でチェックできず」

神鋼記者会見・詳報(2)
データ改ざんの原因結果を発表する神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長=10日午後、東京都千代田区(宮川浩和撮影)

 社内調査に関する説明は約20分で終わり、質疑応答へと移った。不正の背景として、神戸製鋼所グループの大きな特徴である多岐にわたった「事業部門制」に関する質問が集まった。

 主なやり取りは次の通り。

 --品質を軽視する風土はいつからか

 川崎博也会長兼社長「当社は長きにわたり、各部門に品質と収益の責任を負わせる『事業部門制』を敷いてきた。経理、ITなど最低限の部分は本社で管理していたが、品質に関しては各部門に権限を委譲していた。長きにわたる事業部門制の歴史にかんがみると、(品質軽視の風土は)かなり以前から、ということになる」

 山本浩司常務執行役員「検査の生データの保存期間は部門ごとにまちまちで、長くて1~3年の部署もあれば、10年という部門もある。しかし、さかのぼれば10年前からという(不正の)例も見つかった。現時点では『いつから』と明確に申し上げられない」

 --社長自身も機械設備の現場にいた。不正を感知していたのではないか

 川崎氏「私は建設、機械保守、設備改善が主な仕事だった。品質に接する機会がなかった、というのが本当のところだ」

 --コベルコのHPにアップされていた「3つの約束」が消えている

 勝川四志彦常務執行役員「今年の4月から、信頼回復のため掲載してきた。もともと企業理念として作ったものだが、今回の件で信頼が揺らいでおり、仕切り直しのために一旦外した。(3つの約束を)『撤回』したわけではない」

 --「複数の役員が不正を黙認していた」との報道がある

 川崎氏「そうした報道があることは認識している。報告書のベースとなった社内調査において、OBにヒアリングしてきたことは事実だ。しかし10月25日をもって、途中ではあったが、調査を外部委員会に引き継いだ。したがって、今後の調査はその報告を待ちたい」

 --不正の主な原因は

 川崎氏「アルミ・銅部門に不適切行為が集中しているが、会社全体で起きていると認識している。5つの要因のどれが主か申し上げるのは難しいが、あえて言うならば、アルミ・銅部門で品質のマネジメントが機能していなかった」

 「その要因として、『本社が権限委譲を進めていった過程で、組織の規律が事業部門の統制力に依存するようになり、部門ごとの違いから品質管理にバラツキが生じた』。加えて『そのバラツキをチェックする機能が本社になかった』ことが挙げられる」

 川崎氏「またアルミ・銅部門は、鍛造品や鋳造品、押出品、パイプと、距離的に離れた工場ごとに、異なる製品が造られている。『(各現場が)独立している中、人事も固定化し、独自の誤った考え方が醸成されていったのではないか』と考えている」

 --事業部門制に問題があったのか

 川崎氏「事業部門制が否定されるものではないが、各工場がいくつかの困りごとを抱えた、それを本社として把握し、解決する姿勢を見せなかった。結果的に、経営管理構造そのものが、主要因ではなかったかと考えている。工場では色々な不適切行為が行われていたが、経営側はそれを把握し、改善すべきだった」

 「したがって、当社の信頼回復には、こうした経営管理構造の改善・是正と、困ったことがあれば素直に言える職場風土への改革が必須。これを経営の最優先課題とし、不退転の覚悟で取り組んでまいりたい」

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