神鋼、信頼回復へ遠い道のり “城”のような独立性、法令順守の希薄化に「解体的出直し」の声

 
データ改ざんの原因結果を発表する神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長=10日午後、東京都千代田区(宮川浩和撮影)

 神戸製鋼所が公表したデータ改竄問題に対する原因究明と再発防止策では、国内外の多くの拠点で不正が常態化していた事実を再確認する一方、防止策としては企業風土改善を掲げるだけだった。

 度重なる不祥事に加え、昨年に続いてのデータ改竄の発覚もあり、現経営陣のコーポレートガバナンス(企業統治)は機能していない。信頼回復への道のりは遠く、トップの引責辞任なども含めた経営責任のあり方が厳しく問われる。

 川崎博也会長兼社長は10日の会見で、「経営体制を事業部門制にしたなかで、部門での収益重視の閉鎖的な組織風土が生じていた」と分析した。その一方、自身の経営責任は「年内をめどにした最終報告を受けて判断したい」とし、自身が問題にあたることを改めて強調した。

 データ改竄の原因として、関係者も「各部門、各工場がそれぞれ“城”のように独立色を持ち、それぞれの価値観でさまざまなことを判断していた」と指摘する。工場間や部門間での人事異動や交流もほとんどないことが長期間続いたことで、部門の収益重視の体質が強まり、順法意識を希薄化させたとみられる。

 これに加え、神戸製鋼は総会屋への利益供与、政治資金規正法違反など、経営トップらが引責辞任するような不祥事を引き起こしている歴史がある。本社や経営陣を含めたコンプライアンス(法令順守)も問題視されており、新たな経営陣に刷新した上で対応すべきだとの声も出ている。

 企業経営に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「神戸製鋼の不祥事体質は根深く、解体的な出直しが必要だ。そのなかでは川崎氏の引責辞任はやむなく、現経営陣の経営責任は厳しく問わなくてはならない」と指摘する。さらに、再発防止策として西村氏は、神戸製鋼の株主でもある「新日鉄住金の幹部や役員OBらをコンプライアンスの責任者である副社長に招くなど、第三者、外部人材による徹底的な改革が必要だ」と強調した。(平尾孝)

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