各企業、業績快走も“死角”警戒 9月中間決算、構造改革成果に円安の恩恵

 
東京証券取引所では10日、多くの企業担当者が決算関連の資料を配った

 日本の企業業績が快走している。今回は9月中間決算として、経常利益の実績が自社予想を上回った企業の割合が過去10年で最高水準だ。世界景気の回復や円相場の安定といった外部環境の好転が後押ししているが、企業が取り組んできた収益力強化が効果を生んでいることも背景にある。

 国際通貨基金(IMF)は10月、今年と来年の世界全体の成長率予想を引き上げた。世界景気の回復は、海外展開を進める日本企業に追い風だ。また、前年は6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定で円相場が一時1ドル=100円を割る急激な円高となったが、今年は4~9月の平均が1ドル=111円と、前年同期(1ドル=105円)や企業の想定よりも円安で推移。トヨタ自動車は円安などを踏まえ、2018年3月期通期の営業・最終利益予想を上方修正し、従来の減益予想から一転して増益となる。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、東京証券取引所1部上場の3月期決算企業で17年9月中間決算の経常利益が自社予想を上回って着地した割合は9日時点で79.5%と、過去10年では10年9月中間決算の77.0%を上回って最も高い。渡辺篤クオンツアナリストは「景気回復や円安の追い風に加え、前年は為替変動が大きかったことなどで企業が自社の業績予想を保守的に作成していた側面もある」と語る。

 足元の好業績をめぐっては、企業による「ここ数年の収益構造改革の成果が結実している」(SMBC日興証券の清水喜彦社長)といった見方も聞かれる。

 三菱商事は17年9月中間決算の最終利益が41.2%の大幅増で、18年3月期通期の最終利益予想も上方修正し過去最高益を見込む。増一行最高財務責任者(CFO)は「(業績への影響が大きい)資源価格の上昇に目が行きがちだが、事業系の稼ぐ力が着実に強化されている。当社の総合力が発揮された」と強調する。

 年度の折り返し地点を通過し、これからの企業業績に“死角”はないのか。

 中国は共産党大会を10月に終え、今後の景気動向が注目される。日立建機の桂山哲夫常務は「(建設機械の)需要急減は想定しにくくなった」としながらも、「(高水準にある)インフラ投資はどこかで落ちてくると心配はしている」と状況を注視する考えだ。

 国内の個人消費の動向についても、キッコーマンの堀切功章社長は「決して財布のひもが緩くなっているとはいえず、全体的に消費がそれほど盛り上がっている感じはない」と話す。

 ソニーは18年3月期通期の営業利益予想を引き上げて20年ぶりの最高益更新を見込むが、吉田憲一郎副社長は「経営の緊張感、危機感をどう維持していくかだ」と手綱を引き締めた。(森田晶宏)

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