携帯向けマルチメディア放送“開花間近” ドコモとKDDI、事業化へ加速 (1/2ページ)

2010.3.17 05:00

テレビと同じ番組を映し出すドコモのアンドロイド携帯

テレビと同じ番組を映し出すドコモのアンドロイド携帯【拡大】

 2011年夏にも始まる携帯端末向けマルチメディア放送の事業化に向けた取り組みが本格化してきた。KDDIは16日、子会社と共同でカーナビに通信で得た地図や走行ルート、交通情報などを音声、動画で伝える実証実験を開始したと発表。NTTドコモも8日に試作機を使った新サービスの概要を初公開した。地域のラジオ、テレビ局も地元のニュースや交通情報を携帯電話のみならず、携帯ゲーム機や携帯音楽プレーヤーを使って放送することを視野に開発を進めている。新たな用途は、リスナーの減少に苦しむラジオ局や地方テレビ局にとっても起爆剤と期待が大きく、各社の鼻息は早くも荒い。

経済効果2兆円

 携帯端末向けマルチメディア放送は、11年7月にアナログのテレビ放送が終了した後の空き電波を使う次世代放送サービス。総務省は空き電波のうち「VHF-Low帯(90~108メガヘルツの周波数帯)は地域ブロックごとの放送に、VHF-High(207.5~222メガヘルツの周波数帯)は全国向け放送に充てる方針。空き電波の有効利用による経済効果を、同省は11年からの10年間で約2兆円と試算する。

 KDDIは、子会社「メディアフロージャパン企画」とともに沖縄県で実証実験を開始。画面に交通情報を常にテロップで流すほか、店情報を常に表示する。これまでのカーナビは情報をリモコンを使って自分で取りにいく必要があったが、「常に情報が流され、必要な情報を選択すればいい」(メディアフロー)と、便利さを強調する。

  • KDDIのマルチメディア放送端末

 一方のドコモ陣営は映画や音楽ライブ、ニュース、電子書籍などのコンテンツを週300本程度流す計画。データは端末に蓄積されるため、電波環境を気にせず利用できるという。

地方は資金難

 また、疲弊する地方のテレビ局や地元のラジオ局なども、新しい放送は視聴者増につながる可能性もあり、期待を寄せている。ただ、全国向け放送では豊富な資金力をバックにNTTドコモとKDDIの2陣営が免許取得に向けた火花を散らす一方、地方でのサービスは資金不足などを背景に実現が危ぶまれている。総務省は全国向け放送について早ければ4~5月にも1陣営に絞る答申を打ち出すもようだが、地域ブロック向け事業は先送りしている。

 地域ブロック放送は、地方の交通情報やニュースなどが放送されるメリットがあるものの、広告収入の減少などで設備投資にかかる費用約400億円の拠出にめどが立っておらず、関係者は「(資金力が豊富な)NHKの参加が鍵」とするなど台所事情は苦しい。また、全国向け放送でも番組供給を予定するゲーム大手のセガサミーホールディングスのように、新規参入による活性化も不可欠だ。(飯田耕司、西川博明)

  • KDDIのマルチメディア放送端末

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